兼次要那
川島拓也
最悪の家庭環境で育ち、一度は罪をおかした若者が、幼馴染との純愛を信じて派遣社員として懸命に生きようとしながらも、偶発的な出来事によって容赦なく社会から追いつめられていく姿を描き、格差社会の矛盾を浮き彫りにしたヒューマンドラマ。「a20153」とは派遣社員の登録ナンバーであり、コロナ禍でますます仕事にありつけなくなった人びとのアイデンティティの喪失を示唆している。少年の頃から両親に虐待され、貧困のために同級生からさげすまれ、社会でもがき苦しんで生きてきた主人公の川島拓也を、ドラマや映画で活躍する兼次要那が演じ、本作で初主演を飾った。幼馴染の下館結衣役には新進女優の神倉千晶。また、丸純子、風祭ゆき、松田賢二など実力派俳優が脇を固めた。監督は「AZA-ARI」「凶愛」など多数の映画を手掛け、弱者に寄り添う物語を描いてきた北沢幸雄。ニューヨーク・インディペンデント・シネマ・アワードApril2022 監督賞受賞作品。
川島拓也は少年時代、ネグレストの母親と再婚した義父から虐待を受け、そして学校でも酷いいじめに遭っていた。そんな拓也の唯一の理解者は同級生の下館結衣だけだった。ある日、拓也が結衣から貰って大切にしていた誕生日プレゼントの腕時計を、母親が見つけて酒代にしてしまう。拓也の中で何かが壊れた。酔って寝ている義父と母親に、今までため込んだ鬱憤を晴らすがごとく刃を向け、そして少年刑務所に入った。結衣は、そんな拓也に、希望を捨てないよう手紙を送り続けた。二人の純愛は拓也が刑務所に入っても壊れることはなかった。出所後、拓也は派遣社員として登録番号No.a20153を付与され、普通の社会人として一人で生計を立てられるように懸命に働く。いつか結衣に逢いに行くために。だが、そんな二人に苛酷な運命が突きつけられる。
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