グレタ・ガルボ
Arden
「野性の蘭」「恋多き女」と同じくグレタ・ガルボが主演する映画である。原作はアデラ・ロジャース・セント・ジョンの小説から取材したもので脚色には「踊る娘達」「喇叭手クーガン」のジョセフィン・ラヴェット、監督には「上海夜話」「夜襲」のジョン・S・ロバートスンがあたった。助演者は「野性の蘭」のマルス・アスター、「踊る娘達」のジョン・マック・ブラウン、「踊る娘達」のドロシー・セバスティアン、ジョエル・マクリー、レーン・チャンドラー、マーロン・ハミルトン、キャスリン・ウィリアムスその他でカメラは「悪魔の仮面」「大自然の惑乱」のオリヴァー・T・マーシュが担任している。
アーデンは自分の周囲に集まる多くの男性を振り捨てて気まぐれにも運転者に恋をささやいた。否、自分でもこれが恋であるかどうかはっきり判らなかったのであるから、恋をもてあそんだという方が正しかろう。だが気の毒にも運転手はこれがもとで誤解をうけ解雇され遂にわが身を滅してしまった。それ以来彼女の生活に一転機が来た。恋愛に対し真摯な気持ちが動いて来たのである。彼女は初めて真摯な恋に目覚めた。その相手は偶然展覧会で逢った男で、パッキーという金持ちで自己所有の船を持ち、かつ画家でもあり、職業拳闘家でもある若者であった。彼こそ生涯連れ添うにたる男と彼に寄せた彼女の愛情は今までにかつて味わったことのない深いもので、彼が南洋に出発する時も同船したほどであったが、パッキーはこの航海が非常な困難を伴い、彼女の身に過ちあることを恐れ不本意ながらも途中から船を引き返し、彼女を本国へ連れ帰り、改めてひとり出帆してしまった。パッキーの心理を理解し得なかったアーデンはまだ彼に対し愛情を持ちながらも、周知の間柄であり、彼女の愛を熱心に求めていたトミーと結婚するに至った。やがて2人の間にはかわいい子供さへ設けられた。この時、ようとしてその消息を絶っていたパッキーが長い南海の旅を終えて長い南海の旅を終えて帰って来た。彼を見たアーデンの喜びよは言いようのないほど大きいものだった。そしてパッキーはアーデンに愛の復活を追った。これを目撃して悲しみに閉ざされたのはトミーだった。妻の愛はいまだパッキーに宿っているものと察した彼は狩猟にこと寄せて山中に人知れず自分を葬ろうと決心する。だがパッキのため一時はいっさいを忘れたアーデンも愛児のことを思い浮かべて飄然と覚ってわが家に帰る。やがて港の朝霧の中を一隻の船が出て言ったがそれにはアーデンを諦めたパッキーが乗っていた。すべては以前の平和な生活に帰った。そしてトミーは自分の恋を犠牲にしたアーデンの心に感謝しつつ再び訪れた楽しい生活をひしひしと味わうのであった。
Arden
Packy
Mercedes
Tommy
Mr.Blythe
Ding
Beechem-Deever
Mr.Glendenning
Mrs.Glendenning
Mrs.Hadley
Mrs.Blythe
Mr.Burton
Mrs.Burton
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