日本現代詩の先駆者・吉増剛造が、盟友であった故ジョナス・メカスの幻影をニューヨークに追いかけるドキュメンタリー。実験映画界の巨人といわれたメカスの一周忌。吉増は彼が見たアメリカの姿を辿りながら、瞬く間に追悼詩を完成させ、メカスの息子の前で朗読する。監督は「音符と昆布」「幻を見るひと 京都の吉増剛造」の井上春生。
ストーリー
2020年1月、コロナウイルスが襲いかかる直前のニューヨーク。吉増剛造は、第2次世界大戦後に祖国リトアニアを離れアメリカに渡り、ニューヨークに居を定めたジョナス・メカスが見た新天地の姿を辿っていく。マンハッタンの地下鉄、新ワールドトレードセンター、避暑地のコニーアイランド、ブルックリン……。時には8ミリカメラを回し、メカスを偲ぶ詩のモチーフを丹念に拾っていく吉増。詩の創作歴が70年近くに及ぶ彼の言葉の可能性を突き詰めたアヴァンギャルドな詩と、過激な朗読パフォーマンスは海外でもよく知られている。そんな吉増の創作の原点は日常にある。和紙、ノート、レシートや付箋紙の裏に米粒大の文字で詩を毎日連ねていく。吉増がブルックリンにあるメカスの事務所を訪ねると、引っ越しの真っ最中であった。戦時中の詩の手習い帖、1945年のパスポート、数々の写真……。息子のセバスチャンが遺品を吉増の前に並べる。メカスが寝ていたという部屋の片隅に佇んでいたとき、吉増は眩暈を起こし卒倒する……。メカスの一周忌にあたる1月23日。早朝に目覚めた吉増は瞬く間に追悼詩を完成させる。吉増は、メカスが若い時に仕事を探しに往復したマンハッタンとブルックリンにかかる吊り橋を渡り事務所に向かう。待っていたセバスチャンにその詩を朗読する吉増。そして、ふたりの間に長い沈黙が訪れる……。
キャスト
スタッフ
監督、エグゼクティブプロデューサー、編集、サウンドデザイン
井上春生
語り
七木奏音
撮影
安田浩一
撮影監督
鈴木雅也
協力エディター
宇田川健
録音
森英司
録音
中村太郎
制作デスク
白崎裕美子
プロデューサー
山本礼二
ポスターデザイン
ヘンミモリ
主題曲
佐野元春
カメラアシスタント
濱口一瑛
ミキサー
菅野友和
ミキサー
渡辺美枝
カラーグレーディング
倉森武
翻訳
岡本小百合
DCPMastering
田巻源太
コーディネーター
中村英雄
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
[c]キネマ旬報社