養子縁組によって「父親」になったゲイの勇気と、施設で育った「息子」の渉。それぞれに普通の家族や人生を選択してこなかった/できなかった歳の離れた二人の男性がゼロから新たな「家族」の関係を築いていく日常を追ったドキュメンタリー。被写体を見つめるカメラは親密でありながらも時に残酷なほど冷徹な眼差しを向け、感情の機微を丁寧にすくい上げる。監督は日本映画大学で教鞭をとる「春を告げる町」(20)の島田隆一。どんな枠組みにもとらわれず、人は人とどう繋がりをもつことができるのか。そんな困難な問いを、しなやかに捉えていく。
ストーリー
児童養護施設等の子どもたちの自立支援団体で働く網谷勇気(40)。自身がゲイである彼は、様々なマイノリティのための団体を立ち上げ、講演会なども行っていた。ある日、彼は小さなアパートに引っ越し、一人の青年・渉(20)を迎え入れる。渉は、勇気がこれまで支援してきた子どもたちのうちの一人であったが、あるとき、事件を起こし拘置所に入れられてしまう。身の置き場を失った渉に対し、勇気は養子縁組をすることで、自らが父親となって共に暮らすことを申し出たのだった。幼少期より児童養護施設に預けられ、両親の顔も知らずに育った渉と、それまで家族をつくることを想定していなかった勇気。照れ臭さと緊張をにじませながら、二人の新たな共同生活が始まった。複雑な生い立ちを抱え、多感な年頃である渉との関わり方に勇気が戸惑うなか、生まれて初めて帰るべき家を手に入れた渉は、アルバイト生活を送りながら自身の夢へと動きだすが……。
キャスト
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