ビング・クロスビー
Jeff_Lambert
黒人音楽として認められなかったブルースが、アメリカ音楽として世に認識される経緯を描いたB・G・デ・シルヴァ作品で、ハリー・テュゲンドがストーリーを書き、「大平原」のウォルター・デレオンと協力して脚色し、「恋の一夜」「ザンジバーへの路」のヴィクター・シェルツィンゲル監督、「モロッコへの道」のウィリアム・メラーが撮影した。主なる出演者は「スイング・ホテル」「モロッコへの道」のビング・クロスビー、「若草の歌」「オペレッタの王様」のメアリー・マーティン、「大平原」「最後の地獄船」のブライアン・ドンレヴィを始め、新顔の子役キャロリン・リー、ロチェスターの名で人気のある黒人芸人エディ・ロチェスター・アンダーソン、トロムボン奏者でバンド指揮者のジャック・ティアガーデン、「ベニーの勲章」のJ・キャロル・ナイシュ、子役ロニー・コスビーらである。音楽はW・C・ハンディ作曲の「セント・ルイス・ブルース」を始めブルース名曲が多く盛られている。1941年度作品である。
今世紀の初めごろ、ニュー・オーリンズのベイズン街では、黒人の一団が新しいジャズ音楽を熱狂的に演奏していた。少年ながらもジェフ・ランバートはそれに心をひかれ、厳格な父の眼を忍んでは出かけて、クラリネットを吹いては、父の仕置を甘受していた。それから約十年、ジェフのブルース音楽に対する愛は変わらず、彼は白人だけのブルース楽団を初めて組織する。ところがコルネット奏者がいないので弱っていると、黒人の下男ルウイが、今牢に入っているメムフィスのという白人が功いコルネット吹きだと知らせる。ジェフはトロンボーン吹きのペパーを始め一同を連れて牢屋へ行くが、メンフィスを仮釈放するに十ドルだけ金が足りない。ジェフは、かつて馬車の車輪がはずれている時に助けてやったベティー・ルウ・コップから十ドルを借りる。メムフィスの祖母が死にかけて困っているとウソをついたのだが、ちょうど祖父の病気を心配していた彼女はひどく同情したのだった。ところが2、3日するとベティー・ルウは7歳の伯母さんフィービを連れてジェフを訪ねて来る。祖父が死んでフィービを預かったというのである。行きがかり上、ジェフは2人を世話することとなり、ベティー・ルウはジェフに教わってブルース歌手となる。そしてギャングのブラッキーが経営しているナイトクラブに出演し、ジェフらもそのバンドに入って大成功する。それを聞いてシカゴのあるホテルから出演を求められる。ブラッキーはそれを憤慨して、ジェフらが外出できないように2人の子分に見張りをさせる。困ったジェフとメンフィスは、演奏練習している部屋の隣室に2人を招いて酒を出す。酔ったところを見すまして蓄音器をかけ、バンドは川蒸気船に乗り込む。後始末をしていたメンフィスとジェフが逃げ損っていると、ブラッキーがやって来て蓄音器をとめる。音楽がやんだので驚いた子分の2人が練習室に飛び込みブラッキーをメンフィスと見誤って射つ。メンフィスはこのドサクサにまぎれて、ジェフと共にのがれ、出航しようとする蒸気船にとび乗って、ミシシッピー河をさかのぼって行った。
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