ビリー・ダヴ
tamara_Norton
ディキシー・ウィルソン氏作の物語をケイリー・ウィルソン氏が脚色し「海の野獣」「涙の海路」等の監督者たるミラード・ウェッブ氏がFN社入社第一回作品として監督したものである。主役は「歓楽地獄(1927)」「海賊(1926)」等出演のビリー・ダヴ嬢、「謎の刺青」「微笑みの女王」等出演のロイド・ヒューズ氏及び「恋の人形」「花嫁万歳」等出演のルイス・ストーン氏が演じ、アーサー・ホイト氏、アーサー・ストーン氏等が共演している。
ニューヨークのある料理店で毎日昼食の時に顔を合わせる3人の常連があった。彼らは百万長者のワーレンと青年店員ジェリイとそして発明家のオットーとであったが、知己の間柄でもないので語り合うでもなく何時も黙々として食事を済ませるのが常であった。その頃ブロードウェイの人気者だった貴歌劇女優のタマラはジェリイと相愛の仲になり舞台を退いて結婚した。しかしジェリイが失職して生計に困るようになったのでタマラは良人のために再び舞台に戻った。前々からタマラに懸想していたワーレンは根気よく彼女を口説いたが、そのたび毎に断られていた。妻に去られたジェリイは悶々の胸を抱いて彼女に会う機会を作ろうと焦慮していた。また発明家オットーは金主になってもらう考えてワーレンを訪問していたが何時も門前払いを食わされていた。一日例の料理店で3人は顔を合わせた。沈んでいるジェリイを見たワーレンは始めて話しかけた。そして彼の身の上話を聞くと、タマラの良人とは知らないで、愛する以上は決して思い切るなと激励し、またオットーには、彼が自分を訪ねて来るとは知らず、無理にも目的の人と面会するようにと勧めた。その夜自宅でタマラを食事に招いたワーレンは彼女の真情を知って己が恋を諦めた。その時昼間の忠告に従ったジェリイは彼の後を追って来た。それと同時にオットーも訪れて来た。かくてジェリイとタマラとは再び幸福な生活に帰り、オットーはワーレンの援助を受けることになったのである。
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Warren
Otto
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