ロッド・スタイガー
Carl
レイ・ブラッドベリの小説を、製作者でもあるハワード・B・クライチェックが脚色し、「動く標的」のジャック・スマイトが監督したSF。撮影は「フィニアンの虹」のフィリップ・ラスロップ、音楽は「猿の惑星」のジェリー・ゴールドスミス、美術をジョエル・シラー、衣装をアンシア・シルバート、編集をアーチー・マーシェクが担当した。なおスキン・イラストレイションはジェームズ・E・レイノルズ。出演はロッド・スタイガーとクレア・ブルームの夫妻、劇界出身で「暴力脱獄」の新人ロバート・デイヴィスほか。製作はハワード・B・クライチェックとテッド・マン。
若いウィリー(ロバート・デイヴィス)が、中年男のカール(ロッド・スタイガー)と出逢ったのは1933年の9月のことである。カールは、一見平凡な男であるが、足の先から、首まで、色彩豊かな肌絵(いれずみ)をほどこしていた。ただ、背中に1ヵ所だけ、白く残された素肌の部分があり、そこを見つめた人の未来の姿を、その場に現出させるという。そしてカールは、その肌絵を彫り込み、そのまま何処かへ、たぶん未来の中へ消えてしまった美しい女彫りもの師フェリシア(クレア・ブルーム)を20年このかた探しまわっているという。ウィリーは、そんな話は信じなかったが、カールの胸のあたりに彫られたアフリカの草原をみつめていると、たちまちのうちに現実となって大草原が現れた。それは21世紀のこと。試験管生殖の子供たちは精神磁波を通して感情教育をされる。だが破壊的な思考が爆発すると、両親をも殺してしまう。みると両親はカールとフェリシアではないか。そして健康管理の相談役である博士はウィリーではないか。3人の未来図なのであろうか?幻想が終わり再び1933年の田舎町に戻る。次にカールが指さすのはロケットの肌絵。またたくまに、31世紀が目の前に開ける。そこは雨が降りしきる惑星。不時着した4人の宇宙飛行士の中にはカールもウィリーもいる。だが降りしきる雨に耐えきれず3人は死んでしまう。残るはカール1人。やっと探した太陽ドームの中には女が1人。フェリシアであった。三たび現実に帰った。次は肩のあたりの赤い唇をみつめる。41世紀の世界だ。おそるべきガス星雲が地球をおおい、人類のほとんどが死滅。わずかな生存者の中にはカールとフェリシアの夫妻と、2人の子供たちもいる。そしてカールは倫理委員会の命令を守り、2人の子供を薬で殺す。怒り悲しむフェリシア…。四たび現実に帰った。その時ウィリーはカールの素肌の部分に、絞め殺されようとする自分の未来の姿を見てしまった。眠っているカールの頭に石を投げつけ、一目散に逃げ出した。血だらけのカールが、よろよろ後を追う。ウィリーは、自分の未来の死の運命から逃れられるだろうか。だが1933年の田舎町は、必死で彼を追うカールの背中の肌絵だけが、明るい太陽にもとで、妖しくきらめいている。
Carl
Felicia
Willie
Pickard
Simmons
Anna
監督
脚本、製作
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣裳
刺青イラスト
[c]キネマ旬報社