エドモンド・ロウ
Quirt
「薮睨みの世界」「各国の女」「謎の真空管」と同じくエドモンド・ロウ、ヴィクター・マクラグレン共作喜劇で、「大海の底」「野蛮な紳士」の脚色者ダドリー・ニコルズが書き下ろした台本により、「懐かしの谷」「赤道を泳ぐ女」のジョン・G・ブライストーンが監督したもの。なお台詞は「街の娘」「チャンドウ」その他の共同脚色者バリー・コナーズ、フィリップ・クラインが共同執筆し、撮影には「マダム行状記」「アナベル情事」のチャールズ・G・クラークが当たった。助演者は「コンゴ」「キューバの恋唄」のルーペ・ヴェレスを始め、「各国の女」「デリシアス」のエル・ブレンデル、「魔の家(1932)」「大空の闘士」のリリアン・ボンド、「テキサス無頼漢」のブース・ハワード等である。
例の有名な喧嘩友達のクァートとフラッグとは米国海兵団を除隊してしばらく消息を絶っていたが、フラッグは得意の拳骨と強気とで秘密酒場チェーンと酒密輸船隊の持ち主となり、ブロードウェイでは驚くべき大尽振りをやっている。彼の運転手は万年従卒の瓢軽者オルセンだ。ある夜彼の自動車が人を轢いた。轢かれて怪我もしない男はクァートだった。フラッグが両手に花と抱いているオルタンスとリリイはクァートの男っぷりに惚れて、フラッグが嫌がるのに無理にクァートを同乗させて、フラッグ経営の酒場の1軒へ乗り込む。クァートはフラッグの身分を察知するや否や、変な徽章を覗かせてその筋の者を装って1万ドルをせしめる。するとオルタンスとリリイは早速賭博場へ連れ込み、トリガー・ソーンという悪漢と諜し合わせて1万ドルを捲き上げてしまう。一方欺かれたと知ったフラッグは乾分に命じてクァートを酒場の一室に監禁した。酒密輸入船に椿事出来の報に接したフラッグが急行してみると、ハヴァナから密航してきたペッパーという凄いエロ美人に手こずっている所だった。ようやくのことで彼女を船室に打ち込んだが、彼女は物好きのオルセンを騙して上陸し、フラッグの酒場へやって来る。そして監禁されていたクァートと彼女とフラッグとが顔を合わせるやたちまち鞘当てとなり、結局クァートとペッパーは逃げだした。追跡したフラッグの自動車と衝突した時ペッパーは闇の中に逃げてしまい、クァートはフラッグを強盗と訴えたのでフラッグは拘引される。フラッグは直ちに保釈放免になったが、クァートは早くもナイト倶楽部を開業し、ペッパーが踊り子になって景気をつけた。フラッグは早速やってきてクァートをやっつけようとしたが、ペッパーの素晴らしいエロ振りに、二人共鼻毛を伸ばして喧嘩を忘れて彼女のご機嫌取りに夢中になってしまう。そこへトリガー・ソーン一味が殴り込みに来たので、フラッグはクァートの加勢をした。それがギャング道徳に反するとあってフラッグは縄張りを失ってしまう。そしてペッパーも二人を蹴ってしまったので幻滅を感じたクァートとフラッグはまた海兵団に逆戻り入隊した。
Quirt
Flagg
Pepper
Olsen
Trigger_Thorne
Hortense
Lily
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