モーリス・シュヴァリエ
Rene
「今晩愛して頂戴ナ」に次ぐモーリス・シュヴァリエ主演のオペレット映画で、リオ・ホーニマーの原作を「七月の肌着」「マタ・ハリ」のベンジャミン・グレイザーが書き改め、「暴君ネロ(1932)」「今晩愛して頂戴ナ」のウォルデマー・ヤングがナナリー・ジョンソンと共同して脚色し、監督には「お化け大統領」「王様ごっこ」のノーマン・タウログが当たった。助演者は「ハア・マン」「空中大曲芸団」のヘレン・トゥウェルヴトゥリーズ、「極楽特急」「犯罪都市(1931)」のエドワード・エヴァレット・ホートン、「競馬天国」「謎の真空管」のエイドリアン・エイムス、特に選ばれたベビィ・レロイ、を始め、アール・フォックス、リー・レイ、ベティー・ロレイン、ガートルード・マイケル等で、キャメラは「地下の雷鳴」「恋を食べる女」のチャールズ・ラングの担任。なお作詞は「君とひととき」「ラジオは笑う」のラルフ・レインジャーがそれぞれ受け持った。
ルネは一年間のアフリカ猛獣狩りを終えてパリに帰ってきたが、出迎えているはずの婚約者ルイズがおらず、彼女がルネの帰りを翌日だと思い違いしてたことを知ると、陽気な浮気者ルネはすっかり朗らかになり、その自由な一日を十分楽しむべく、その夜の9時には快活なポーレットと、11時には黒いひとみのスザンヌと、最後の1時には火の如くに激しい女ガブリエルと会う約束を結んだ。さて彼は自分の家に帰ってみると、車の中に一歳未満の坊やが捨てられていた。すぐに警察に引き渡そうとしたが、坊やの愛らしさにルネはすべてを忘れ、駆けつけた警官を追い返し、その夜は執事フランシスコと共に坊やの世話に専念した結果、三人の美人との約束を全然忘れてしまった。翌朝ルネの違約を烈火の如くに怒って飛び込んできたのはガブリエルを先頭に、亭主を引き連れたポーレットとスザンヌだったが、スザンヌは人もあろうにルネの執事フランシスコの妻で、これにはさすが陽気な浮気者ルネも仰天した。またこの最中に婚約者ルイズから電話がかかり週末の結婚披露会のことなどくどくどと聞かされてウンザリしているのに今度は坊やが泣き出した。この混乱にルネはすっかりまいってしまったが、幸い派出されてきた看護婦サリィの行き届いた小手裁きで、やっと急場を救われた。しかしそれから二時間後にもう一人の看護婦が現れたのでサリィが無免許であることがわかったが、ルネはサリィの美しい金髪をとくと認め、本物の看護婦を追い返してしまった。こうなるとルネとサリィを結ぶものは坊やで、陽気な浮気者ルネは坊やのために得意な子守歌を歌ってやるほどであった。ルイズとの婚約発表会が近づくにつれて世間はルネと坊やの関係を疑問視し、あるものはルネの実子であるかのように言い触らしたので、それを信じたルイズは失望して婚約を破棄してしまった。重いがけぬこの不幸も坊やのためならとルネはあっさりとルイズをあきらめ、坊やのおかげで心も引かれるようになったサリィと三人でパリを去りリヴィエラに移り住むことになった。折しも現れたのはルネとの間を夫に誤解されて弱っているポーレットで、彼女は夫に誤解されるようなことをしないでくれと突っ掛かってきて、ルネが面食らっている間に、サリィはまたルネの浮気だと早合点し失望して彼の家を飛び出した。サリィがやっとアパートに落ち着くと、そこには先回りしていたルネが待ち受けていて、ポーレットとの仲を弁解し、サリィを愛していると打ち明けた。サリィもまた彼を愛していたので次第に心が和らいでいったが、なおも二人を固く固く結びつけたのは坊やのむづかる泣き声だった。
Rene
Sally
Victor
Paulette
Monsieur
Max
Gabrielle
Suzanne
Louise
Robart
General
Agent_de_police
Henry_Joudain
Concierge
監督
脚本
原作
撮影
作曲
作詞
脚色
脚色
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