ダグラス・フェアバンクス・ジュニア
Fred
「男の一頁」「落下傘」のダグラス・フェアバンクス・ジュニアが出演する映画で、「雨」の原作者W・サマセット・モーム作の小説に基づいて「恐怖の甲板」の原作者「恋愛四重奏」の脚色者ロバート・プレスネルが脚色し、「落下傘」「マネキン英雄」のアルフレッド・E・グリーンが監督に当たり、「虎鮫」「天国爆撃隊」のトニー・ゴーディオが撮影したもの。助演者は「駄々っ子キャグニー」「ブラウンの本塁打」のパトリシア・エリス、「たそがれの女」「大空の闘士」のラルフ・ベラミーを始め、「夫を殺すまで」のグッドリイ・ディジェス、「暴君ネロ(1932)」のアーサー・ホール、「シャーロック・ホームズ(1932)」のレジナルド・オーウェン、ヘンリー・コルカー、ウィリアム・V・モング、ウイリー・ファング等である。
豪州のある富限者の息子フレッドは青春の血に駆られて夫ある一夫人と恋に陥り、誤って夫なる人を殺してしまった。フレッドの父親はその富と地位とによって、腹黒い船長のニコルズを買収し、人知れずフレッドを彼の船に乗せて殺人事件のほとぼりが冷めるまで、南洋諸島を航海させることにした。ある島で彼等はソーンダース医師を助けたが、この男は探検隊で中国へ帰りたがっているのであった。嵐にあった一行は小さい島に避難した。そこは以前にオランダの貿易港だった所で、今は原住民と僅かの白人が住んでいるだけだった。白人というのは美しい娘のルイズ、その父親、その婚約者のエリック等であった。フレッドは純な乙女のルイズと愛し合うようになったが、彼女の婚約者たるエリックの原始的な理想主義者としての態度を尊敬しているので、ルイズを全的に己がものにすることを憚っていた。しかし熱帯の陽光あまねきところ、本能の力はフレッドの自制力を圧倒し、彼はある夜ルイズを訪れた。そして彼が帰るところを見たエリックは激怒して、フレッドの喉を扼して倒した。フレッドは失神していたが夜露に息を吹き返し、エリックを訪れて彼とルイズが愛し合っていることを告げ、自分達を結婚させてくれと頼もうと思ったが、フレッドを殺してしまったと早合点したエリックは悔恨して自殺して果てていた。エリックの召使の中国人はそれを見てフレッドがエリックを殺したと告訴した。ソーンダース医師はフレッドをかくまったが、後ろ暗いところのあるニコルズ船長はその所在を密告した。しかし警察が捜索に来たときはフレッドは逃れていた。彼が乗った船にはルイズが待っていた。折柄の暴風を衝いて恋人立ちは自由の大海へ船出した。
Fred
Louise
Eric
Doctor_Saunders
Captain_Nichols
Frith
Fred'S_Father
Swan
Ah_Kay
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