森田コウ
大槻
劇作家、演出家の八木橋努が自らの舞台劇を映画化した長編初監督作品。駆け出しの美容師・リコと無名の役者・剛は、付き合い始めたばかりのカップル。2人は、それぞれ同居していた幼なじみの男・信治と無職の先輩・岩淵を追い出し、同棲を始めるが……。出演は「ジムノペディに乱れる」の芦那すみれ、本作が映画初出演となるミュージシャンの山下剛史。
駆け出しの美容師・リコ(芦那すみれ)と、鳴かず飛ばずの役者・剛(山下剛史)は、付き合い始めたばかりのカップル。ところがそれぞれ、リコの自宅には幼なじみの男・信治(若松朋茂)、剛の自宅には中年で無職の先輩・岩淵(橋本利明)が居候していた。リコと信治の関係を疑い始めると同時に、金をせびってくる岩淵に嫌気が差した剛は、2人の男を追い出し、リコとの同棲に踏み切る。同じ頃、ソーラーパネルの販売代理業で潤沢な生活を手に入れた中年の社長・大槻(森田コウ)は、半年前に再婚したばかりの26歳年下の新妻に手を焼いていた。彼女のために購入した豪邸に、当の本人が引っ越して来る気配が1ミリもないのだ。一方、晴れて同棲生活を始めた剛は、リコへの思いをさらに募らせるが、そんな剛の気持ちと裏腹に、リコの帰宅時間は遅くなり、無断外泊するようになる。大槻はさらに、新妻を呼び寄せるため、別荘を購入するなど贅を凝らすが、状況は一向に変わらない。追い打ちをかけるように、太陽光バブルが終焉を迎えた頃、大槻と剛の人生が一点で交わり、2人と彼らを取り巻くすべての人々に決断の時が訪れる。
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