人口57万人、有権者数47万人を抱えながらも、わずか187票差で決着した2022年の東京都杉並区長選挙。同区在住の劇作家・演出家ぺヤンヌマキが、この選挙で現職を破った候補者・岸本聡子と彼女を草の根で支えた住民たちに密着したドキュメンタリー。主題歌「黒猫同盟のミュニシパリズム」を担当したのは、上田ケンジと小泉今日子のユニット“黒猫同盟”。
ストーリー
東京都杉並区。57万人が暮らす緑豊かな街で、行政主導の再開発、道路拡張、施設再編計画が進んでいた。そんな状況下で迎えた2022年6月の杉並区長選挙。住民たちは、ひとりの候補者を擁立する。ヨーロッパに暮らし、NGO職員として世界の自治体における“公共の再生”を調査してきた岸本聡子だ。地縁なし、政治経験なしの彼女の相手は、3期12年続く現職区長。しかも、岸本が日本に帰国したのは投票日2ヶ月前。ここから岸本と彼女を擁立した住民たちの、当選を目指した本気の対話が始まる。監督は、杉並区在住の劇作家・演出家のぺヤンヌマキ。彼女が長年住むアパートが道路拡張計画によって立ち退きの危機にあることを知り、止める方法を自身で調べ始めたことをきっかけに、監督自身が地域問題の当事者となり、今まで無縁だった選挙と政治の世界へカメラ片手に飛び込んでいった。住民たちと連携し、学び、悩む記録でもあり、それ以上に候補者と支援者たちと悩み、考え、ぶつかりながら、合意形成のため対話を積み重ねていくリアルなやり取りを多数記録。“この選挙方法で良いのか?”、“住民要求とは?”、“政策とは?”、“そもそも公共とは?”……。そして選挙後に起こった動きに、新たな光を感じる。私たちの生活は、政治と繋がっている。もう黙っていられない。ジャーナリズムとはちょっと違う、未来への希望に満ちた新しい市民映画が誕生した。