監督、製作、撮影、編集
2011年3月に起きた福島第一原発事故で“帰還困難区域”に指定された福島県浪江町津島の住人たちの姿を記録したドキュメンタリー。福島第一原発から北西 30キロに位置しながらも、大量の放射性物質が降り注ぎ、現在も故郷に戻れない住民たちの声とは。監督は「福島は語る」の土井敏邦。
ストーリー
浪江町津島は福島県東部、阿武隈山系の山々に囲まれた人口約 1400人の平穏な山村だった。福島第一原発から北西に 30キロも離れているにもかかわらず、2011年3月11日の事故直後に大量の放射性物質が降り注ぎ、地域の大部分が“帰還困難区域”に指定されたまま、現在も多くの住民が帰れずにいる。だが、故郷を離れて10年以上経った今も、人々の心の中には津島での日々がある。貧しかった開拓時代の記憶、地域コミュニティと共にあった暮らし、綿々と受け継がれてきた伝統文化、今は亡き家族との思い出……。裁判記録『ふるさとを返せ津島原発訴訟原告意見陳述集』に記された住民たちの言葉に衝撃を受けた土井敏邦は、“この声を映像で記録したい”と原告 32名の元を訪ね歩き、10ヶ月にわたるインタビューを敢行。“100年は帰れない”と言われた故郷・津島の歴史と、そこで生きてきた人々の記憶と感情を映像に収めた。そこには、避難先で起こった子どもたちへの差別といじめについての証言も。総勢 18名による、全9章、3時間を超える圧巻の語りの数々。その聞き手となるのは、災禍の時代を共に生きる私たち一人ひとり。