ディレクター
寺山修司の文学性とテレビメディア論がぶつかり合った傑作ドキュメンタリー。ディレクターの萩元晴彦がテレビの“中継性”を見出したという「第一部」。坂田栄寿名人と林海峯八段の第四期囲碁名人戦の模様を4台のカメラと同時録音で収録。最小限のナレーションと両者の表情・手つき・呟きなどから、緊張感漂う現場の時間そのものを伝える。しかし翌週放送された「第二部」は一変、物語は思いもよらない展開を見せ、THE寺山作品へと変貌していく。ヒッチコックの「サイコ」のような巧みな構成が光る。「TBSレトロスペクティブ映画祭」(2024年4月26日~5月16日・Morc阿佐ヶ谷ほか全国順次)にて上映された。