ポール・ルーカス
Joseph_von_Schleder
ヴェラ・キャスパリーとウィニフレッド・レニハン合作の舞台劇から「愛する権利(1930)」「夫無き妻」のゾー・エイキンスが映画脚本に組み立て「夫無き妻」「彼女の名誉」のドロシー・アーズナーが監督したもので、主なる出演者は「春ひらく(1931)」「忍びよる心」のポール・ルーカス、「影を売る男」のジュディス・ウッド、「青春来る(1931)」のチャールズ・バディー・ロジャース、「アメリカの悲劇」のフランセス・ディール、スチュアート・アーウィン、ドロシー・ホール、「裸で御披露」のアルバータ・ヴォーン等でカメラは「珍暗黒街」「掠奪者」のハリー・フィッシュベックの担当である。
田舎から職業婦人を志してニューヨークへ出て来た二人の姉妹メエとジューンは「ロルフ・ハウス」という婦人ホームに寄宿して勤め口を探すことになった。まもなく姉のメイは著述家フォン・シュレーダーのもとに速記タイピストとして雇われ、妹のジューンは某ホテル内の電信局に就職した。その電信局へ二人の青年が電報を打ちにやってきた。一人はボイド・ホイーラー、いま一人はケリーだった。二人の電文によりジューンはボイドが恋に冷め易い男であることとケリーが週給90ドルの楽士であることを知った。そこで彼女はちょとケリーに電波ならぬ秋波を送った。効果はテキメンたちまち晩餐に誘われた。メイはやがてボイドに紹介され彼が新進売出しの弁護士だと知って親密な交際をつづけるようになった。やがてシュレーダーはメイに求婚したが彼女がすでにボイドと婚約していると聞いて失望した。その矢先たまたま彼女がボイドから番飯に誘われ、一晩中、寄宿舎へ帰らなかったことを知り怒って彼女を解雇してしまった。しかしジューンの取りなしで解雇は取り消したがそれ以来彼の愛はジューンに移って行った。一方ボイドが社交界の娘ルイズと婚約したことを知ったメイはフォン・シュレーダーから会って求婚されたことを思い出して彼に結婚してくれとせがみ、聞かなければ自殺すると脅かしたので彼も仕方なく同意した。そのうちにルイズとボイドの婚約が破談になったのでメイはジューンの計らいで、ボイドと撚りを戻し二人は早速結婚した。このことをジューンから聞いたフォン・シュレーダーは怒るかと思いの外、却って喜んで彼が本当に愛しているのはジューンだと告げた。ジューンも秘かに彼を恋していたのでここに姉妹はそれぞれ思う男を首尾よく手に入れることが出来た。
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Lou
Jane
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