レイ・ミランド
ドン・バーナム
1945年度アカデミー受賞映画であわせて監督賞、脚本賞、主演男優賞をも得ている。「青髭八人目の妻」の共同脚色チームのチャールズ・ブラケットとビリー・ワイルダーが、チャールズ・R・ジャクソンの小説を基に脚本を書き、ワイルダーが監督に当たったもの。主演は「呪いの家」のレイ・ミランドと、最近「一年仔」に主演して返り咲いたジェーン・ワイマン。「最後の地獄船」のハワード・ダ・シルヴァ、フィリップ・テリー、ドリス・ダウリング、フランク・フェイレンが助演している。撮影は「アラブ」等古くから名手たるジョン・サイツの担当。
ドン・バーナム(レイ・ミランド)は33歳、大学時代から小説家になるつもりで、中途退学してニューヨークに飛び出してきたのだが、学窓の天才も世に出てはいっこうに小説が売れない。売れなくとも書いているうちはよかった。書けなくなってきて、焦慮をまぎらそうと一杯の酒を飲んだのが諸悪の始まりで、どうやらアルコール中毒になってしまったらしい。弟思いの兄ウィック(フィリップ・テリー)のアパートで兄弟は二人暮らしで、何から何までドンは兄まかせである。十日ほどの酒びたりからやっと目覚めた弟を、ウイックは田舎へ連れて行って週末4日間なりとも健康生活をさせようと企画する。出発の準備の最中、ドンの恋人ヘレン(ジェーン・ワイマン)が訪ねて来る。彼女が音楽会の切符を二枚持っているというと、ドンは3時の列車の予定を6時半の列車に延ばし、無理に兄を彼女に同伴させる。しかし酒は一滴もない、金も一文なし、どの酒屋も現金でなければドンには酒を売らない。そこへ給金を貰いに来た掃除女との扉ごしの問答で、給金10ドルの隠し場所を知ったドンは、彼女をごまかして追い返し、それをネコババ。すぐ安酒を2本買い、ついでにナットの酒場に寄るのだった。飲んだくれたドンは時間に遅れ、ヘレンに会わないようにしてアパートへ帰る。兄は怒って、一人で田舎へ行ってしまった。買ってきた酒の1本を電燈のかさの裏に隠し、もう1本を飲んでドンは寝る。翌日、朝からナットの酒場へ行き、ドンはヘレンとの恋物語を始める。3年前、オペラでレインコートの預かり札の間違いで知り合い、恋仲となったこと。恋は不思議なもので、酒を断つことができたこと。彼女の両親が娘の恋人に会いにニューヨークへ来たこと。失業の身で昔気質の老人たちに会うのが気恥ずかしく、電話で時間が遅れると断って1杯飲んだこと。そして飲んだくれ、彼女に正体を見せたこと。しかしドンに首ったけのヘレンは彼を見限らず救おうとして、以来約3年の間むなしい努力を続けていることを話す。ドンは、帰って小説を書き始める。タイトルは『酒びん』ドン・バーナム作、ヘレンに贈る。しかし後は一行も書けない。酒が飲みたいが、金はない。ドンは無一文で初めての酒場で飲み、ハンドバックをスリ損なって店を放り出される。タイプライターを売ろうとすれば、ユダヤ人のヨム・キッパー祭日で、質屋は全部休み。顔見知りの女給グロリアから5ドル借りるが、階段から落ちて気絶する。気が付くとドンは、アルコール中毒患者収容所にいる。しかしドンは、医師のコートを盗んでアパートへ逃げ帰る。部屋の中で幻覚におびえているところに、ヘレンが来る。彼女の介抱でその夜は眠るが、翌朝はヘレンがオーバーを質に入れ、ピストルを出してくる。しかし、ドンは自殺はしなかった。ヘレンの愛で酒飲みのドン・バーナムは死んだが、作家ドン・バーナムはこれからは大いに書くだろう。
ドン・バーナム
ヘレン
ウィック・バーナム
Nat
グロリア
Bim
Mrs._Deveridge
Mrs.Foley
Mrs.St._James
Mr._St._James
Attendant_at_Opera
監督、脚色
原作
製作、脚色
撮影
編集
衣装デザイン
作曲
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