アイダ・ルピノ
Ruth_Brewster
「まごころ」のアイダ・ルピノ、「赤い家」のエドワード・G・ロビンソン、「四人の姉妹」のジョン・ガーフィールド、「我が道を往く」のバリー・フィッツジェラルド、「世界の母」のアレクサンダー・ノックス等が共演する映画で、ジャック・ロンドン作の小説をロバート・ロッセンが脚色し、「カサブランカ」「カンサス騎兵隊」のマイケル・カーティズが監督、「三人姉妹(1942)」のソル・ポリートが撮影した。音楽はエリック・ウォルフガング・コーンゴールドが作曲。
作家のハムフリー・ヴァン・ワイデンと暗い過去を持つ女ルース・ウェブスターは、難船にあって漂流しているところを、一隻の帆船に救われた。その船は名もゴースト号という怪船だ。船長は狼と呼ばれるラーセン、慈悲心などは毛ほどもない残忍な男である。彼は野獣のように力が強く、その拳固はすべての男をうちのめす。「狼」の彼にはすべての男が敵としか思えないのだ。彼の船に乗り合わせたものこそのろわれたも同然なのだ。その一番いい例はボーイのリーチである。ラーセンはリーチを虐げ苦しめることに喜びを感じるらしく、リーチの一挙手一投足をとがめ立てて罰を加えるのだ。たまりかねた船員は、ついに暴動を起こしたが、ラーセンを殺すことは不成功に終わる。ハムフリーはリーチとルースと共に小さいボートに乗って逃げた。ゴースト号に乗っているよりは、運を店にまかせて漂流しようというのである。その運は数日ののちボートを一隻の船に近づけた。ゴースト号であった。しかもゴースト号は少しずつ沈みつつある。近づくと物音もせず人声もない。水があるかも知れないとリーチはボートから乗り込んだ。しかし乗ったリーチはいつまでたっても戻らない。意を決したハムフリーはルースと共にゴースト号に乗り移る。ハムフリーは船長室に座っているラーセンの姿を認めた。ラーセンは積悪のむくいか、その眼は次第にかすんで失明しつつあるのだ。リーチの所在を問うと、ラーセンは嘲るように船底に閉じ込めたという。浸水が高まればやがて溺れ死ぬのだ。憎々しげなラーセンの言葉をしりめに、リーチを助けに行こうとハムフリーが行きかけると、ラーセンは拳銃をかまえて、この部屋にいろと命令した。口論の果て、ラーセンが射つとハムフリーは負傷した。致命傷だ。さすがのラーセンもその乞いをいれて鍵を与える。ハムフリーは鍵を扉の外のルースに渡す。ルースがリーチを助け出して甲板に上がって来た時には、ゴースト号は沈没の直前であった。甲板で待っているとルースに告げたハムフリーの姿は見えない。リーチと共にルースはボートに乗り移った。船長室にハムフリーはラーセンと共にまだいるのだとルースが覚ったとき、ゴースト号は棒立ちとなって沈んでしまった。
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