モント・ブルー
Hugh_Clayton
「リーグ戦線異常あり」「特急黒ダイヤ」と同じくハワード・ブレザートン氏が監督するモント・ブルー氏主演映画で、ジョン・ランサム氏の原作を上記2映画と同じくハーヴェイ・ゲイツ氏が脚色したもの。助演者は「特急黒ダイヤ」「喧嘩友達」のエドナ・マーフィ嬢、ロバート・オーバー氏及びバー・マッキントッシュ氏で、キャメラは「栄光」「ノアの箱船」のバーニー・マクギル氏がクランクした。
米国で指折りの企業家ジョン・クレイトンにはダンとヒューと2人息子があった。ダンは勤勉なビジネスマンだったがヒューは冒険好きな若者だった。2人とも父の秘書フィリス・ミラーに恋していた。ヒューは父の反対を顧みず飛行家となり欧州大戦が始まると飛行将校として出征することとなり、出発に先立ってフィリスと結婚した。ダンは悲しみながらも父を助けて家に留った。ヒューは武勲を樹てたが或る日彼の飛行機は射落され行方不明と報ぜられた。8年後フィリスはフランスを訪れヒューが最後に手紙を書いてよこした村へ赴いて、彼の消息を尋ねたが、沓として何事も解らなかったために泣く泣くフィリスは愛するヒューのことを諦めかねつつもダンと結婚することを承諾した。父のジョンは数百万ドルを投資して飛行機を通商事業に利用することとなった。記憶喪失症に犯されて病院に在ったヒューは或る時病院から脱走して父親が経営している工場に、それとは知らずに雇われた。新型の飛行機試運転の日に彼は操縦することを命ぜられたところが運悪く飛行機が墜落大破して傷ついた彼は又もや病院に入れられた。再度の怪我のために彼は失っていた記憶を快復した。そしてフィリスが父とダンとともにフランスに行っているということを知るやヒューは不吉な予感に襲われて激しい焦燥に陥った。医師はその様を見て発狂したものと認めて癇狂院にヒューを入れた。ヒューはそこを脱出して、父が大西洋横断飛行のために造った飛行機を盗み出して乗り込み、見事に横断飛行に成功してフランスに到着した。そしてフィリスとダンとの結婚式場に駆けつけ、危うく重婚の罪を犯そうとしているフィリスを救った。フィリスは夢寝にも忘れ得ないヒューと再会したので思わず嬉し泣きに泣いた。
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