エリオット・グールド
フィリップ・マーロウ
ロサンゼルスのネオンの中を事件を求めて、一抹の感傷を抱いてさまよう私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とするレイモンド・チャンドラーの小説の映画化。監督は「ギャンブラー」のロバート・アルトマン。脚本はチャンドラーの『大いなる眠り』の映画化「三つ数えろ」の女性脚本家、リー・ブラケット。主演はアルトマン作品「「M★A★S★H マッシュ」のエリオット・グールド。原作とは時代設定を変え(50年代から70年代に)、後半の展開も違っている。「ロバート・アルトマン傑作選」(2023年5月26日~、東京・角川シネマ有楽町ほか)上映作品。
靴をはいたままベッドでうたた寝をしていた私立探偵マーロー(エリオット・グールド)は、腹をすかせた猫に起こされてしまった。真夜中の3時、あいにくペットフードを切らせてしまい、オールナイトのスーパー・マーケットへと車を走らせる。だが、いつものカレー印の缶が売り切れ、別の缶を買ってきて与えると、猫は口もつけずにふらりと外に出ていってしまう。猫と入れ代わりに友人のテリー・レノックス(ジム・バウトン)がやってきた。夫婦喧嘩の末、家を飛び出し、頭を冷やしにメキシコに行くという彼を、マーローはメキシコ国境の町まで車で送る。だが翌朝帰ってくると、警察の訪問でテリーの妻が殺されたことを知る。テリーを匿っていると疑われたマーローは警察にしょっぴかれるが、なぜか3日後に釈放される。テリーがメキシコのある町で自殺したというのだ。翌日、マーローの元に高名な作家ロジャー・ウェイド(スターリング・ヘイドン)の妻アイリーンから、行方不明の夫を捜してほしいと依頼が入る。早速、高級住宅地のマリブ・コロニーにあるウェイドの家を訪ねたマーローは、夫人から「助けて下さい。ドクターV」と書かれたメモを見せられ、調査に乗り出す。“ドクターV”とは、神経科のヴァーリンジャー博士(ヘンリー・ギブソン)のことだった。作品が書けなくなったウェイドは酒に溺れ、ヴァーリンジャーの病院にたどり着いていた。さっそくウェイドを病院から連れ戻して、一件落着かと思いきや、マーローがアパートに戻ると、いきなりマーティ(マーク・ライデル)率いるやくざたちに取り囲まれる。彼らはテリーの持ち逃げした大金35万ドルをマーローが隠していると信じていた。マーローが一味の車を尾行すると、車はウェイドの家に入っていった。事件の複雑さに行き詰まりを感じたマーローは、テリーが自殺したというメキシコの田舎町オタトクランを訪れるが、何の手がかりもつかめない。再度、ウェイドの家を訪ねると、ビーチ・パーティの最中で、ウェイドは多額の診察料を請求するヴァーリンジャーとトラブルになっていた。その夜、酔ったウェイドは海に入り、高波にのまれて死んでしまう。マーローは35万ドルの行方を追うマーティに再び捕らえられ、あやうく拷問されそうになるが、誰かから突然金が返ってくる。解放されたマーローの前をウェイド夫人の乗った車が走り抜けて行く。必死に走って追いかけるマーローは車にはねられ、病院にかつぎこまれる。幸いに怪我はたいしたことなく、その足でウェイド家に行ってみるが、夫人はすでに引っ越した後だった。ウェイド夫人の暗躍にテリーの存在を感じたマーローは、再度メキシコに飛ぶ。検死官に5千ドルの賄賂を握らせると、テリーの死が偽装自殺であったことが明らかになる。ウェイド夫人はテリーの愛人だったのだ。いまやテリーはウェイドの莫大な遺産を手中に収め、のうのうと暮らしていたのである。男の友情に裏切られたマーローは、テリーに銃口を向けて引き金を引いた。並木道でジープに乗ったウェイド夫人とすれ違ったマーローは、気付かぬふりをして黙って立ち去っていくのだった。
フィリップ・マーロウ
アイリーン・ウェイド
ロジャー・ウェイド
マーティ・アウグスティン
ドクター・ヴァーリンジャー
Harry
監督
脚本
原作
製作
製作総指揮
撮影
音楽
編集
字幕
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