役所広司が「映画館に行こう!」キャンペーン2020のアンバサダーに「覚悟と努力でコロナを乗り越える」
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う緊急事態宣言が解除され、ようやく順次営業を再開した全国の映画館。この夏、映画館での安心、安全のための取組みを示し、大スクリーンで映画を鑑賞する楽しさをアピールすべく「映画館に行こう!」キャンペーン2020が6月30日にスタート。期間は8月31日(月)までの予定で、キャンペーン・アンバサダーとなった役所広司らによる記者会見が、TOHOシネマズ日比谷で開催された。
「映画館に行こう!」実行委員会は、日本映画製作者連盟、外国映画輸入配給協会、モーションピクチャー・アソシエーション(MPA)、全国興行生活衛生同業組合連合会の4団体で構成される。会見には、その委員長を務める松岡宏泰と、同実行委員会の顧問で一般社団法人日本映画製作者連盟会長の岡田裕介と役所の3名が登壇した。
松岡が、役所をキャンペーン・アンバサダーとして招いた理由について「今回は、製作、配給、興行の垣根を超えた映画界全体のキャンペーンとなります。その顔だから、ぜひ役所さんにお願いしたいと、みんなが思いました」と言えば、岡田も「役所さんは日本アカデミー賞の最多受賞者。映画界の代表的な方であることを付け加えさせていただきます」と語った。
役所は「大変光栄なことで、歳だけはとってるんですが、そういう役目は苦手なんです。でも、長年映画館には世話になっているので、こんな時に自分で役に立つのであればと、お受けしました」と恐縮する。
役所は、ステイホーム期間の過ごし方について聞かれると「山中教授が『ピンチをチャンスに変えなきゃいけない』とおっしゃいました。これまでも、優れた映画を生み出してきた日本映画界ですが、コロナショックを機に、さらに活性化し、かつて世界の映画に大きな影響を与えた巨匠たちのような才能が生まれるかもしれないなと、大きな夢を見て自粛をしてました」と答えた。
さらに「まずは、お客さんに映画を映画館で観てほしい。自粛中には自宅のテレビで映画を楽しまれた方も多いと思いますが、やはり映画館で観る映画は別ものだと僕は思う。安心安全で映画館のスタッフたちが頑張っているので、観客側としてもしばらくは油断せず、コロナ禍における映画鑑賞のマナーを守って楽しんでいただきたい」と訴えた。
岡田は、映画館が元来、厚生労働省の管理のもと各都道府県の興行場法の条例を元にして作られているので、場内の換気は徹底していることを改めて説明。
新型コロナウイルスの第2波について対策を尋ねられると「映画館によっても、地方と東京においても違うので、推移を見守って協議をしていかないといけない。映画館からクラスターという話は聞こえてこないが、そうならないように最大限に注意を払っていく」と述べた。
また、ようやく撮影も始まったという役所だが、三密を避けての現場には戸惑いも感じているようだ。
「映画の撮影は、人とふれ合って成立する仕事。本番までシールドをつけて、本場だけ外すというのは非常に不自由だし、僕たちの仕事としてはリスクが大きい。人にふれ合うのが、僕たちの仕事のエネルギーになっているので、そのへんは苦労してます」。
最後に役所はこう締めくくった。「撮影現場は、経済的にもこれから苦労すると思います。でも、覚悟と努力があれば、こんな時代でも優れた作品が生まれると僕は信じています。映画館がコロナショックを乗り越えて、日本映画がもっと豊かになればいいなと思っています」。
公式HPでは役所をトップバッターに、映画業界人10人によるYouTubeのリレー動画が本日より配信されていくとのことだ。
取材・文/山崎伸子