石橋蓮司、18年ぶり主演映画の初日に感無量!「原田芳雄の影を背負って撮影していた」
石橋蓮司が18年ぶりに主演を務めた映画『一度も撃ってません』の公開記念トークショーが7月3日に東京都内で開催され、石橋と阪本順治監督が登壇。出演者の大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、佐藤浩市、柄本佑と生電話をつなぎ、公開初日を迎えた感慨を語り合った。
本作は、理想のハードボイルド小説を極めるため、殺しの依頼を受けてはその暗殺の状況を取材している“ハードボイルド気取りな小説家”の市川進(石橋)が、妻や友人を巻き込んだ人生最大の騒動を巻き起こす大人のコメディ。
公開初日を迎え、阪本監督は「いまや撮影するのも、公開するのも戦い。映画館も配給会社も宣伝会社も、みんな同じ想いで初日を迎えていると思う」とコメント。「これからどんどん新しい日本映画が公開されるなかで、こういう大人の映画が先陣を切るべきだと思っています。石橋蓮司さんが先頭を走って、ほかの映画が導かれる。そういった気運になればいいなと思っています」と語った。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響から一度は公開延期となったことから、石橋は「ここまで来るのに長い時間がかかりました」と切りだした。劇場に駆けつけた観客がたくさんいることを耳にしたといい、「こういう状況下で劇場に来てくださった。本当に頭が下がります。その方たちと映画を通して“三密”な関係になれたら」とニッコリ。本作の企画は、2011年に亡くなった原田芳雄の自宅に七回忌で集まった際に、桃井が「蓮司さん主演で1本やろう」と声を上げたことから始まったそうで、石橋は「今回の映画の、影の製作者は原田芳雄。今回のメンバーには芳雄の家でくつろいだり、激論を交わした連中もいる。撮影しながらも、いつも芳雄の影を背負いながらやっていた」としみじみと話していた。
この日は、大楠、岸部、桃井、佐藤、柄本が生電話で舞台挨拶に参加。ロサンゼルスから声を届けた桃井は「現場が楽しくて、蓮司の底力をまた見せてもらった。蓮司には一番長生きしてもらわないと」とエール。柄本は「(本作の企画を)風の噂で聞いて、事務所の社長に『通行人でもいいから出たいんですけど…』と言った。こんなことをしたのは初めて」、親子三代にわたって石橋と共演しているという佐藤は、「40年間、居住まいがまったく変わらない。俺に対する接し方もずっと一緒。本当にすばらしい」と告白した。
キャスト陣の言葉を終始うれしそうに聞いていた石橋は、「こういう状況でもお客さんが足を運んでくれていると聞いて、もっと作品に対して情熱を持って提示していけるようにならないといけないと思った。僕らよりずっと映画を愛している方がたくさんいるんだと、肝に銘じておきたい」と仲間、そして観客からたくさんの力をもらった様子だった。
取材・文/成田おり枝