MX4D、4DXの違いとは…IMAXやTCXってどうすごいの？上映形式を知れば映画の楽しみ方はもっと広がる！

映画が“観る”だけのものから“体験する”ものへと変わりつつある近年。映画館に足を運んだことがある人なら「Dolby Atmos」や「4DX」といった特殊な上映形式の名前を一度は耳にしたことがあるだろう。

現在、日本国内の映画館に導入されている特殊な上映形式は、映写システムや音響システムはもちろんのこと、シアター全体を使って作品への臨場感を増幅させるものなど多種多様。「それって通常の上映となにが違うの？」と疑問に思っている方のために、本稿では現在導入されている主な上映設備を一気に紹介していきたい。

IMAX

1967年の設立以来、IMAX[R]は独自開発したテクノロジー、フィルム規格と映写システムで映画体験を変革し、映画製作の限界を押し広げてきた。従来は科学館やテーマパークなどでドキュメンタリー作品を中心に普及してきた。

IMAXは、世界最⾼峰の没⼊型映画体験を提供するシアター。特許を持つ独自の映像処理技術「デジタル・メディア・リマスタリング技術(DMR）」により、IMAXシアターで上映される作品は音響、明度、コントラスト、明るさなど細部にいたるまで高い精度で調整し、IMAX仕様にリマスタリングされ、ほかの劇場では味わえない画期的な映画体験を可能にしている。映画だけではなく、シアターの設計、プロジェクション、⾳響までもが独⾃にカスタマイズされたシアターだ。

壁一面に広がる巨大スクリーンに、2台のデジタルプロジェクターから同時に投影される明るく鮮明な映像。高精度なサウンドは爆発の大音響、肩越しのささやき、聴くというより感じる重低音で、完璧に調整された一体型サウンドシステムと正確な指向性のスピーカーの組み合わせにより、ピンが落ちる音が聞こえ、どこに落ちたかも正確に知ることができ場内の隅々まで臨場感あふれるサウンドで満たす。

【IMAXで映画を観られる劇場】

109シネマズ木場/109シネマズ湘南/109シネマズ箕面/ ユナイテッド・シネマ豊橋18 / ユナイテッド・シネマ岸和田/ シネマサンシャイン土浦 / シネマサンシャイン衣山/ TOHOシネマズ日比谷/ TOHOシネマズ仙台/TOHOシネマズ ららぽーと横浜/TOHOシネマズ 二条 / TOHOシネマズ なんば本館・別館/イオンシネマ大高/ T・ジョイPRINCE品川/横浜ブルク/広島バルト11 / 鹿児島ミッテ10 / 成田HUMAXシネマズ/ 福山エーガル8シネマズ/ USシネマちはら台/

IMAXレーザー

革新的な4Kレーザー投影システムと最新の12chサウンドシステムを採用。レーザー光源によって深みのあるコントラストと豊かな色彩、映像の細部に至るまでシャープかつクリアに再現。そして包み込むような高精度で臨場感あふれるサウンドシアター空間全体を満たす。

【IMAXレーザーで映画を観られる劇場】

109シネマズ二子玉川/ 109シネマズグランベリーパーク/ 109シネマズ川崎/ 109シネマズ菖蒲/ 109シネマズ名古屋/ ユナイテッド・シネマ札幌/ ユナイテッド・シネマとしまえん / ユナイテッド・シネマ　テラスモール松戸/ ユナイテッド・シネマ浦和/ ユナイテッド・シネマ　キャナルシティ13 / ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添 / シネマサンシャインららぽーと沼津 / シネマサンシャイン大和郡山/ TOHOシネマズ 新宿/ TOHOシネマズ 流山おおたかの森

IMAXレーザー/GTテクノロジー

現在、日本国内では、東京・池袋のグランドシネマサンシャインと大阪の109シネマズ大阪エキスポシティにのみ導入されている「IMAXレーザー/GTテクノロジー」は、国内最大級のスクリーンと4Kツインレーザープロジェクター、12chサウンドシステムを兼ね備えたシアター。通常のスクリーンと比べ正方形に近い1.43:1のアスペクト比は、IIMAXフィルムカメラで撮影されたシーンがフルサイズで上映することが可能に。

【IMAXレーザー/GTテクノロジーで映画を観られる劇場】

109シネマズ大阪エキスポシティ/ グランドシネマサンシャイン

4D

スクリーンに映しだされた作品のシーンやアクションに合わせ、座席が動いたり特殊効果が施されることで、視覚と聴覚以外の部分からも映画を“体感”し、映画の中にいるような感覚を味わうことを可能にしたのが「4D上映」技術。現在、日本国内には専用のシアターで空間全体を使った演出が施される「MX4D」と「4DX」のほか、特殊効果はないが作品と連動して座席が動く「D-BOX」などが存在している。

MX4D

アメリカMediaMation社が開発した「MX4D」は、シートが前後、左右、上下に動くとともに風やミスト、香り、ストロボなど五感を刺激する11種類の特殊効果が連動。シアター全体をダイナミックに使う「4DX」と異なり、シート周りの繊細な演出が際立つのが大きな特徴となっており、ホラー映画など、じっくり緊張感を味わいたい作品におすすめ。

【MX4Dで映画を観られる劇場】

TOHOシネマズ 新宿/ TOHOシネマズ 六本木ヒルズ/ TOHOシネマズ 西新井/ TOHOシネマズ 府中/TOHOシネマズ 海老名/TOHOシネマズ ららぽーと横浜/ TOHOシネマズ ららぽーと富士見/ TOHOシネマズ ららぽーと船橋/ TOHOシネマズ 柏/ TOHOシネマズ 宇都宮/ TOHOシネマズ 赤池/TOHOシネマズ 二条 / TOHOシネマズ なんば本館・別館/ TOHOシネマズ 鳳/ TOHOシネマズ 西宮OS / TOHOシネマズ 岡南/ TOHOシネマズ 川崎 / イオンシネマ徳島/広島バルト11// MOVIE ON やまがた

4DX

「4DX」の持ち味は、シアター内をフルに使ったダイナミックな演出。特殊機器が搭載されたモーションシートが上下、左右、前後に動くのはもちろん、独自にデザインされたミストやエアー、熱風などの環境効果、シアター全体を包み込む霧や雪、フラッシュなどの演出が臨場感を極限まで高めていく。また、一部劇場ではシートの動きに新たに「スライド＆ツイスト」を搭載した「MAXシート」が導入されている。カーアクション映画や大勢で楽しめるタイプの作品におすすめ。

【4DXで映画を観られる劇場】

109シネマズ富谷/ 109シネマズ佐野/ 109シネマズ菖蒲/ 109シネマズグランベリーパーク/ 109シネマズ四日市 / 109シネマズ大阪エキスポシティ/ 109シネマズHAT神戸/ 109シネマズ広島 / 109シネマズ佐賀 / ユナイテッド・シネマ札幌/シネプレックス旭川/ ユナイテッド・シネマ水戸/ ユナイテッド・シネマ水戸ユナイテッド・シネマ前橋/ ユナイテッド・シネマ春日部/ ユナイテッド・シネマ入間/ ユナイテッド・シネマ新座/ ユナイテッド・シネマわかば/ ユナイテッド・シネマ　テラスモール松戸/ ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場/ユナイテッド・シネマ豊洲/ ユナイテッド・シネマとしまえん / ユナイテッド・シネマ新潟/ ユナイテッド・シネマ豊橋18 / ユナイテッド・シネマ大津 / ユナイテッド・シネマ枚方/ユナイテッド・シネマ橿原/ ユナイテッド・シネマ　キャナルシティ13 / ユナイテッド・シネマ 福岡ももち/ ユナイテッド・シネマ長崎/ ユナイテッド・シネマ熊本/ ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添 / グランドシネマサンシャイン / シネマサンシャイン平和島 / シネマサンシャイン沼津 / シネマサンシャインららぽーと沼津 / シネマサンシャイン大和郡山/ シネマサンシャインエミフルMASAKI / シネマサンシャイン北島/ シネマサンシャイン姶良/ 小牧コロナシネマワールド/ 中川コロナシネマワールド/ 安城コロナシネマワールド/ 豊川コロナシネマワールド/ 大垣コロナシネマワールド/ 金沢コロナシネマワールド/小田原コロナシネマワールド/福山コロナシネマワールド/ 小倉コロナシネマワールド/ 小倉コロナシネマワールド/イオンシネマ名取/ イオンシネマ越谷レイクタウン/ イオンシネマ シアタス調布/ イオンシネマみなとみらい/ イオンシネマ四條畷/ イオンシネマ京都桂川 / イオンシネマ筑紫野 / USシネマ木更津 / USシネマ木更津 / USシネマ千葉ニュータウン / USシネマつくば / USシネマパルナ稲敷/ USシネマちはら台/ アースシネマズ姫路/ フォーラム那須塩原

ScreenX

3面マルチプロジェクションシステム。従来のような正面のスクリーンに加え、左右の壁にも映像を投影することで、視界の270度をカバー。視覚のみで映画の世界に没入したような臨場感を体験することができる。なお左右の画面に映しだされる映像は、通常のスクリーンでは観ることができない特別な映像。

【ScreenXで映画を観られる劇場】

109シネマズグランベリーパーク/ 109シネマズ明和/ ユナイテッド・シネマ　テラスモール松戸/ ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場/ ユナイテッド・シネマ 福岡ももち/ ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添 / グランドシネマサンシャイン / シネマサンシャインららぽーと沼津 / シネマサンシャインかほく / シネマサンシャイン下関/ TOHOシネマズ 熊本サクラマチ

4DXScreen

次世代型の体感シアターである「4DX」と「ScreenX」の2つが融合した超次元のハイブリッドシアター。シートの動きや環境効果によって映画の世界をシアター全体で再現する「4DX」と、視界270度に広がる3面スクリーンの「ScreenX」。両者が組み合わされたことによって、従来の「4DX」にはなかったダイナミックな映像体験、「ScreenX」にはなかった映画の世界を体の芯から味わう臨場感を可能にした。

【4DXScreenで映画を観られる劇場】

109シネマズグランベリーパーク/ グランドシネマサンシャイン / シネマサンシャインららぽーと沼津

Dolby Atmos

より自然でリアルな音場を作りだすことで、観客を映画の世界に引き込み、生き生きとした映画体験を提供する立体音響技術「DolbyAtmos」。従来のサウンドシステムとの具体的な違いは、特定のサウンドを個別に扱い、制作者の意図した通りに再現する「音声オブジェクト」の導入と、それをより正確かつ立体的に再現するため、前面・背面・側面に加えて天井にもスピーカーを配置したこと。映画館のどの位置でもリアルかつナチュラルで、インパクトのあるサウンド体験が味わうことができる。

【Dolby Atmosで映画を観られる劇場】

TOHOシネマズ日比谷/ TOHOシネマズ 新宿/ TOHOシネマズ 池袋/ TOHOシネマズ 六本木ヒルズ/ TOHOシネマズ 日本橋/ TOHOシネマズ 仙台/ TOHOシネマズ ららぽーと富士見/ TOHOシネマズ ららぽーと船橋/ TOHOシネマズ 柏 TOHOシネマズ 赤池/ TOHOシネマズ 梅田/ TOHOシネマズ くずはモール/ TOHOシネマズ アミュプラザおおいた/ イオンシネマ幕張新都心/ イオンシネマ名古屋茶屋/ イオンシネマ和歌山/ イオンシネマ京都桂川 / イオンシネマ岡山/ グランドシネマサンシャイン / シネマサンシャイン平和島/ シネマサンシャイン下関/ USシネマ木更津/ シネマQ/ CINEMA RYCOM(シネマライカム)/ ミッドランドスクエア シネマ/ アースシネマズ姫路

Dolby Cinema

最先端の光学・映像処理技術を採用し、従来の上映と比較すると2倍の輝度と500倍のコントラスト比を可能にした「Dolby Vision」と、3次元的なサウンド表現を可能にした「Dolby Atmos」。そして、スクリーン以外の要素を排除して映画の世界に完全に没入することができるように設計されたシアター。この3つが組み合わさることで、鮮やかでリアルな映像と音声を最大限に堪能することができる。

【Dolby Cinemaで映画を観られる劇場】

T・ジョイ横浜/ T・ジョイ博多 / 梅田ブルク7 / 丸の内ピカデリー / MOVIXさいたま / MOVIX京都/ ミッドランドスクエア シネマ

BESTIA

「BEST IMMERSIVE AUDIOVISUAL」の略称である「BESTIA(ベスティア)」は、シネマサンシャイン 独自規格で、最新鋭の4Kレーザープロジェクションシステムと、3D立体音響が一体となった次世代のシアターフォーマット。圧倒的な明るさとコントラスト比の向上によって、従来のプロジェクターよりも映像中の黒の表現が向上。深みのある映像と豊かな色域によって、よりリアルで鮮明な映像が可能となり、それが壁一面に設置された大型高性能スクリーンに投影される。

さらに、3D音響システム(イマーシブサウンド)によって、オブジェクトベースのサウンドが実現。爆発音や車のクラクションなどがそれぞれ独立したオブジェクトとして存在することによって、より自然な音場が形成され、リアルな音響空間が再現。シアター内を縦横無尽に動き回るような新次元サラウンドを体験することができる。作品により、7.1ch、5.1ch、ステレオ、モノラルなどイマーシブサウンド以外での上映もある。

【BESTIAで映画を観られる劇場】

グランドシネマサンシャイン / シネマサンシャインららぽーと沼津 / シネマサンシャイン姶良/

TCX

「TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN」の略称である「TCX」は、TOHOシネマズ独自のラージスクリーンフォーマット。同規模の座席数のシアターと比較し、120%大のスクリーンサイズを誇る壁一面の巨大スクリーンが最大の特徴。加えて、シアター内の壁や床、座席のカラーをダーク系に統一することによってスクリーン以外の光の反射を軽減。巨大スクリーンに映しだされる大迫力の映像に没入した映画体験を可能に。

【TCXで映画を観られる劇場】

TOHOシネマズ日比谷/ TOHOシネマズ 新宿/ TOHOシネマズ 池袋/ TOHOシネマズ 六本木ヒルズ/ TOHOシネマズ 日本橋/ TOHOシネマズ 立川立飛/ TOHOシネマズ 仙台/ TOHOシネマズ ららぽーと富士見/ TOHOシネマズ ららぽーと船橋/ TOHOシネマズ 柏/ TOHOシネマズ 市原/ TOHOシネマズ 赤池/ TOHOシネマズ 梅田/ TOHOシネマズ くずはモール/ TOHOシネマズ アミュプラザおおいた/ / TOHOシネマズ 熊本サクラマチ

ULTIRA

全国に92の劇場を展開するイオンシネマ独自のシアターシステムで、現在10劇場に導入されている。壁一面に広がる特別仕様の専用シルバー・スクリーンを採用し、迫力満点の映像体験を可能にした巨大スクリーン。驚異的な明るさと鮮明さによって、映像美と臨場感を実現させるプロジェクション技術。そして高音域・中音域・低音域を絶妙にコントロールした立体音響と、どの座席でもセリフや効果音が聞き取りやすいクリアサウンド。これらが組み合わされることで、没入感のある映画体験を味わうことが可能に。

【ULTIRAで映画を観られる劇場】

イオンシネマ幕張新都心/ イオンシネマ シアタス調布/イオンシネマ春日部/イオンシネマ座間/
イオンシネマ港北ニュータウン/イオンシネマ名古屋茶屋/イオンシネマ津南/ イオンシネマ和歌山/ イオンシネマ京都桂川/イオンシネマ岡山/ イオンシネマ広島西風新都/ イオンシネマ徳島

LIVE ZOUND

日本初の本格的シネマ・コンプレックスとして知られる神奈川県川崎市の「チネチッタ」に導入されている「LIVE ZOUND」。チッタ・グループのクラブチッタが音響監修を務める「チネチッタ」オリジナルのサウンドシステム。音楽ライブなどで用いられる最高峰のスピーカー、高出力密度のパワーアンプ、迫力の重低音、密度の高い22台の新感覚サラウンドスピーカー、それらが一体となって唯一無二の臨場感あふれる音響を実現。

上映される作品は調和重視型の「ハーモニクス」、迫力重視型の「ハードコア」、迫力と調和を兼ね備えた「ハイブリッド」の3種類に分類され、それぞれの作品の魅力をサウンドから最大限に引きだすことが可能に。2019年からはLIVE ZOUND導入シアターに、高輝度かつハイコントラストな映像表現を可能にした次世代プロジェクターであるRGB 4Kレーザープロジェクターを導入。革命的な音響と、ダイナミックな映像を同時に体験できる劇場空間に進化を遂げた。

【LIVE ZOUNDで映画を観られる劇場】

チネチッタ

3D

2000年代に映画の新たな楽しみ方として定着した「3D上映」。それまでの立体映画技術にあった、スクリーンから“飛び出してくる”映像ではなく“奥行きのある”映像を実現することで、作品世界への没入感を高めてくれる。現在は「4D上映」などの新たな体感型シアターや、「IMAX」「Dolby Cinema」など没入感の高いシアターフォーマットが主流となったことで縮小傾向に。

「3D上映」の規格は劇場によって様々で、それぞれ特徴も異なる。従来のホワイトスクリーンのまま上映が可能として黎明期に多くの劇場で取り入れられた「XpanD」は、左右の映像を高速で切り替えるアクティブシャッター方式を採用。しかし、画面の明るさやメガネの重さ、メガネのメンテナンスなどの課題があった。同じ方式では後に、明るさと重さが「XpanD」よりも改善した「NESTRI」が日本でも導入されている。

一方、専用のシルバースクリーンに張り替える必要があった「RealD」や「MasterImage」は円偏光方式が採用されたことによって首を傾けても3D映像の乱れが少なく、また使い捨て可能なメガネなどのメリットもあり代表的な規格のひとつに。ほかにも「ドルビー3D」や「Sony Digital Cinema 3D」、IMAXデジタルシアターでのみ上映可能な直線偏光方式の「IMAXデジタル3D」などがある。