トム・クルーズ、感染対策の規則破りにFワード連発で激怒…「今度やったらクビ」
現在、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、一部地域でティア3(最も厳しい制限)に突入したイギリスで、「ミッション・インポッシブル」シリーズの第7弾を撮影中のトム・クルーズが、新型コロナウイルスの感染予防対策を守っていなかったとして、50人ほどのスタッフの前で、該当する2人のスタッフに対してFワード連発で激怒。その後にももう一度激昂する場面があったことから、5人のクルーメンバーが同作から離脱したという。
事の発端は、2人のスタッフが、ティア3のハートフォードシャーにあるワーナー・ブラザースのスタジオで、コンピューターのスクリーンを見ていた際に、1メートルのソーシャルディスタンスを保っていなかったというもの。イギリスでは2メートルが原則だが、距離が保てない場合は、マスクをするなどの感染対策を取って、1メートル以上の距離を保つというルールがある。
「The Sun」に掲載された3分31秒にわたる音声ビデオで、Fワードを連発して怒鳴っているのは紛れもなくトム。「今度やったらクビ!」と言い放ち、何度も、「以上」を連発しながらも話が終わらないのは、怒りが収まらない証拠だろう。
「ここ数か月、撮影現場はピリピリムードでした。トムはイギリス入りしてからは、二重にマスクをする徹底ぶりで、ルールを守れないスタッフが許せなかったようです。今まで我慢していた怒りがついに爆発してしまったことに加え、ビデオが流出したことで、怒りが倍増し気持ちが収まらないようです。自分と同じように事態を深刻に受け止めない人間を受け入れがたく、2度にわたる激昂の結果、5人のスタッフが辞めていった」という。
同作は、2月に撮影を中止し、ロックダウンで撮影中断を余儀なくされた後、7月から撮影を再開。感染予防のためにトムがクルーズ船をチャーターしたほどだったが、秋からまた世界中で感染が爆発。8月にはバイクスタントが原因の火事が起こり、10月には12人のスタッフがコロナに感染、撮影中断を余儀なくされるなど、思うように製作が進まず、ストレスを溜め込んできたトムの怒りは頂点に達したのだろう。
さらに、当初2021年7月の全米公開を予定していた同作の公開日が11月19日に変更され、シリーズ第8弾は2022年11月の全米公開を予定している。これ以上撮影を遅らせることができないという製作側の背景があることに加えて、コロナ禍において、ハリウッドで映画を製作しているプロデューサー、解雇された仲間への想い、さらに責任はプロデューサーでもあるトムが負わなければならないという諸々の事情を考慮すれば、トムの主張に納得する人は多いだろう。
しかし、マスクをしない権利を主張する欧米人や、先に述べたようなソーシャルディスタンスのルールがあるものの、マスクはつけない、距離は守らないという人もいる英国では、理解を得るのは難しいのかもしれない。
また、「言っていることは正しいが、言い方が問題だ」「上から高圧的に言うのはパワハラでは」など、過激ともとれる叱責に厳しい意見もある一方で、混迷する映画業界において、真摯にものづくりに向き合うトムの姿勢がうかがえるエピソードとも言える。「IndieWire」などによると、新作映画の宣伝のため番組出演したジョージ・クルーニーも、「自分ならああいうやり方はしない」としながら、「決して過剰な反応ではない」と理解を示すなど、映画人からの好意的な意見も多いようだ。いずれにせよ、人気シリーズである本作の完成が、映画ファンにとって待望であることは間違いないだろう。
NY在住/JUNKO