綾野剛がサプライズ参戦!「伝えることはひとつの寄り添い」と『ヤクザと家族』に込めた想い語る

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綾野剛がサプライズ参戦!「伝えることはひとつの寄り添い」と『ヤクザと家族』に込めた想い語る

絶賛公開中の映画『ヤクザと家族 The Family』の大ヒット御礼スペシャルトークショーが行われ、藤井道人監督とスターサンズの河村光庸エクゼクティブプロデューサーが登壇。作品の誕生秘話や制作陣の強い絆について語り、劇場へと足を運び、本作を大ヒットへと導くファンへの感謝の気持ちを伝えた。

藤井道人監督と河村光庸プロデューサーが登壇し、その手応えを語った
藤井道人監督と河村光庸プロデューサーが登壇し、その手応えを語った

冒頭の挨拶で藤井監督は「周りから“観たよ”と言ってもらえるとすごくうれしいです。なにより、評判が良いと河村さんの機嫌がいいので安心しております」と安堵した様子。河村プロデューサーは「『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』といった大ヒットアニメ映画が映画館を席巻し、邦画が少し追いやられた感があるなか、この作品を多くの人が観てくださり、ロングラン上映へと導いてくださったことをありがたく思っています」と感謝の意を述べた。

イベントに先駆け、Twitter上で募集した質問に答える形で、トークショーが進行。『ヤクザと家族 The Family』というタイトル誕生秘話を教えてほしいという質問に藤井監督は「河村さんが『ヤクザと家族 The Family』ってどうだ?と提案してきて…。『新聞記者』の時と一緒で、最初は“ダサッ”と思うと同時に(笑)、ド直球すぎやしないかと不安になりました」と振り返りつつ、「でも、主演の綾野剛くんをはじめ、出演者たちの後押しもあり、徐々にいいタイトルに見えてきました」と微笑む。

次回作への期待を寄せられ、「ラブコメを撮るのは無理です…」と笑う藤井道人監督
次回作への期待を寄せられ、「ラブコメを撮るのは無理です…」と笑う藤井道人監督

河村プロデューサーは「最初は皆さん大反対で孤立無援状態でした。でも、私は絶対引かないと決めていました。なぜなら、どういう映画なのかをはっきり言い表していると思ったからです。藤井監督の賛成に続き、綾野くんの絶大な指示のおかげで、みんなが納得してくれたという流れです」と解説した。

イベントには10回以上鑑賞したという作品ファンが多数来場。募集した質問も内容の濃いものがたくさん集まったという。ラストのナレーションをシナリオ本と比較したという熱烈なファンからは「すばらしい言葉で暗記してしまうほどだった」という熱いメッセージが届いていた。これに対し藤井監督は、「編集後に新たなフレーズに書き直し、綾野くんに読んでもらいました」と制作過程を明かす。河村プロデューサーも「ナレーションでの言葉のチョイスに私からのリクエストはありませんでした。キャストの方たちの作品に対する熱量がすごすぎたので、その勢い、気持ちを伝えることを一番に考えていました」とキャスト陣の思いに委ねていたことに触れた。

『新聞記者』(19)に続き、本作でも相性の良さを証明した最強タッグの次回作に期待は高まるばかり。河村プロデューサーは「言いたいけど、秘密です。期待してくださいとだけは言っておきます!」と自信を見せる。藤井監督も「イベント前に近くのルノアールに呼び出されて直前まで打ち合わせしていました」と笑顔で語ると、会場は期待の大きさを表すかのような大きな拍手に包まれた。藤井監督のラブコメ作品が観たいというファンの声には「ユーモアのセンスがないので自分にはムリです。期待されて失敗したときに“ほれ見ろ”という意見を受け止める自信がないので、ラブコメは撮れませんとだけお伝えしておきます」と苦笑いを浮かべた。

ここで、サプライズゲストとして綾野剛がリモートでイベントに参戦。綾野の姿がスクリーンに映しだされると、会場はこの日一番の大きい拍手に包まれた。笑顔を浮かべ手を振りながら「藤井監督と河村プロデューサーがトークショーを行うということで、どんな形でもいいから参加したいと申し出ました。急遽、リモート出演という形を実現してくれたすばらしいチームに改めて、感謝したいと思います」とニッコリ。

【写真を見る】手を振る綾野剛…リモートでのサプライズ登壇に、会場は大きな拍手に包まれた
【写真を見る】手を振る綾野剛…リモートでのサプライズ登壇に、会場は大きな拍手に包まれた

また会場のファンに対しては「緊急事態宣言下では、劇場で観るという行動は本当に勇気のいることだと思います。劇場で観てくださいとは言い難い状況で、どのように気持ちを伝えていけばいいのか、なにが正しい方法なのか、判断することはとても難しいです。ですが、どんな形でも皆さんに会いたいという気持ちがあり、このような形で参加いたします!」と気持ちを伝える機会を得たよろこびを語った。
質問の多かったラストシーンの撮影について「この映画は海に沈むシーンで始まり、海に沈むシーンで終わることは決まっていました。監督と“次の世代にバトンを渡したい”という話をするなかで、最終的に藤井監督がこのエピローグでと考え抜いてくださいました。シーンについての話し合いはしましたが、僕ら俳優部はどこまでも脚本にあるものを忠実に演じることが大事。ラストシーンはすばらしいものになったと思います。若い人たちに託すというのは、ともすれば負担になるかもしれないけれど、未来があるからこそ、新しい世代を生きていく若者にバトンを渡したいという想いを込めて作ったシーンです」と振り返った。

イベント直前に連絡を取り合ったという綾野と藤井監督。「 “イベント頑張ってね”と伝えただけ。隠していてごめんね」と綾野が謝る場面も。続けて「藤井監督はこんなことやりたい、あんなことやりたいってたくさん話すけれど、なかなか実現しません。きちんと実現するように、(記事にして)監督を追い込んでください!」とマスコミに呼びかけるひと幕も。スターサンズが作る作品について綾野は「映画を使ってm社会にメスを入れたいわけではありません。ミニマムな世界にも家族があるという事実を伝えているだけ。描いたことを正しいとしたり、理解を忍ばせているわけでもありません。伝えることは一つの寄り添いだと思います。そんな風に受け取ってもらえたら幸せです」と思いを語った。

「一人歩きしていく感じは、プロデューサーにとって一番うれしいこと」と語る河村光庸プロデューサー
「一人歩きしていく感じは、プロデューサーにとって一番うれしいこと」と語る河村光庸プロデューサー

最後の挨拶で藤井監督は「次の作品でも、皆様の生活になにかプラスになるようなものを作りたいと思っています。これからも応援よろしくお願いします」と笑顔を浮かべ、河村プロデューサーは「キャストの皆さんが情熱をかけたこの映画は、私の手からは離れていった感じすらしてしまいます。もう自分の手の中に取り戻せないような気がして、嫉妬してしまうほどです。でも、その一人歩きしていく感じは、プロデューサーにとって一番うれしいことなので、これからもたくさん応援してください」と呼びかけ、イベントを締めくくった。

取材・文/タナカシノブ


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