アカデミーミュージアムのバーチャル・ツアーへ潜入!映画ファン垂涎の展示内容が明らかに
映画の都、ロサンゼルスで建設前から人々の話題の的となっていたのが、美術館、ミュージアムが集まるミラクル・マイルに開館するアカデミーミュージアム。現地時間9月30日のグランドオープンを前にして、その全貌がお披露目された。
バーチャル・プレスツアーに登場したのは、ミュージアム・ディレクター兼会長のビル・クレイマー氏、Netflixの共同CEOでミュージアムの理事長を務めるテッド・サランドス氏、ミュージアムの副理事で、第92回アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(19)のプロデューサーのミキー・リー氏、ミュージアムを建築したレンゾ・ピアノ氏。
クレイマー会長は、「映画製作は共同作業で行われる芸術であり、映画を作るためには、撮影、編集、プロダクション・デザインなど、様々な要素が必要です。美術館の建設も同じで、学芸員やプログラマーだけでなく、デザイナーもいます。最高のスタッフと協力し、人々が圧倒するような体験を創造できたと自負しています。ギャラリーや劇場に足を踏み入れた方々が、作品だけでなく空間そのものにも驚かされるようなミュージアムにしたいと考えています。映画館で素晴らしい映画を観たときのような、感情的で直感的な体験になるように」と語った。
展示内容については『マリッジ・ストーリー』(19)で第92回アカデミー賞助演女優賞を受賞した、ローラ・ダーンの案内のもと、スパイク・リー監督、ギレルモ・デル・トロ監督が説明に当たった。映画製作の各種プロセスを展示していくなかで、“映画監督のインスピレーション”というギャラリーでは、スパイク・リーのオフィスの壁に飾られている絵や写真が再現される。リーは、「このコレクションは、私が影響を受けたものを全世界に見てもらうもの。若者、特に公立校の学生たちの課外授業に使ってほしいと思います。ミュージアムの前に黄色いスクールバスが並ぶのを見たい。美しい精神を持った子どもたちが映画という未知の世界に出会い、彼らのなかに、なにかが生まれるだろう。そうして言うんだ、『将来は映画監督になりたい!』って」とコメントした。
“世界観&キャラクター構築”の展示では、ギレルモ・デル・トロのクリエーションを展示する。デル・トロは「私たちはこの宇宙における自分の存在意義という壮大な問題を理解するために、天使や悪魔、そして空想上の生き物(クリーチャー)を必要とします。私のクリーチャーへの興味は、グアダラハラに住む子どもの頃、ジャック・アーノルド監督の『大アマゾンの半魚人』を観た時に、自分だったらどう表現するかと考えたことに遡ります。そこから行き着いたゲンナージー・カザンスキー監督の『両棲人間』を展示に含め、モンスターたちへの愛の物語を示します」と説明した。既報の通り、アカデミー・ミュージアムの柿落とし展示は、北米で初めての開催となる「宮崎駿展」。原画やスケッチなどを展示し、隣接する劇場でレトロスペクティブ上映も行われる。
常設展示には、『オズの魔法使』(39)でドロシーが履いていた赤い靴や、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(93)のジャックのストップ・モーション・アニメーション用の頭部模型など、様々な映画の小道具や衣装が展示される。昨年A24のチャリティ・オークションで落札した『ミッドサマー』(19)でフローレンス・ピューが着用していたフラワードレスも飾られることだろう。
9月30日のグランド・オープンまでの間には、世界中から観賞できるオンライン・プログラムも用意しているそうだ。
文/平井 伊都子