キャプテン・アメリカの“盾”に込められた意味とは…アンソニー・マッキーがファルコンの苦悩を告白
先日最終話を迎えた「ワンダヴィジョン」につづく、マーベル・スタジオのドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(ディズニープラスにて第1話~第3話配信中)。配信が開始されるや全世界で称賛の声が相次ぎ、日本でも視聴数の新記録を打ち立てるなど大熱狂を呼んでいる。そんな本作で最重要アイテムとなる、キャプテン・アメリカの“盾”に込められた意味を探っていきたい。
“インフィニティ・ストーン”やアイアンマンのスーツ、ソーの“ムジョルニア”など、これまで製作されたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品には、物語を大きく動かすさまざまなアイテムが登場してきた。本作でその役割を果たすのが、キャプテン・アメリカのシンボルである“盾”。
本作の舞台となるのは、正義の象徴キャプテン・アメリカがいない混乱を極めた世界。新しい時代のヒーローが求められるなかで、この盾をめぐる物語が語られていくことに。
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(11)で、キャプテン・アメリカの誕生とともに日の目を見ることとなった“盾”。第二次大戦中のスーパーソルジャー計画の対象者に選ばれ、超人血清によって最強の兵士となったキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースは、アメリカの強さや正義の象徴として戦地で活躍。星条旗の星をあしらった丸い盾が彼のトレードマークとして定着していく。それから約70年の眠りを経て、キャプテン・アメリカは「アベンジャーズ」のメンバーとしてアメリカだけでなく世界を救うため、リーダーシップを発揮していく。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)で描かれたサノスとの死闘の末、キャプテン・アメリカは親友であるファルコンことサム・ウィルソンへ正義のシンボルを託す。
そのシーンについて本作で脚本を務めたマルコム・スペルマンは、「スティーブにどう感じるかと訊ねられ『他人のものみたいだ』と答えた時のサムは、突然のことにどうしていいか分からずにいた。今回のシリーズで彼を支える上で、また心の葛藤を定める上で、私が必要としていたすべてがあのシーンに描かれていました」と振り返る。
サム役を演じるアンソニー・マッキーも、この時のサムの躊躇する感情について「あの盾を僕らが暮らすこの“国の象徴”だと考えているんです。黒人である彼が、黒人の人々の象徴ではなく“国の象徴”になるなんてあり得るのだろうかと、ものすごい不安を持っています」と明かす。そして「多くの人はキャプテン・アメリカのことを考える時、スティーブという具体的な人物像を思い浮かべる。この社会で黒人として成功する存在となるためには、日常生活の中でたくさんの限界や、様々な現実を受け止めて生きなければならないのです」と、サムの苦悩の理由を語った。
一方、本作でファルコンとバディを組むウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズ役のセバスチャン・スタンは「バッキーが気にしているのは、キャップの代役を誰が果たすべきか、彼が残したレガシーを誰が引き継ぐべきかということなんです」と語り、「サムもまたその問題に葛藤していることは間違いありません。二人とも好む好まざるにかかわらず、キャプテン・アメリカが意味するものはなにかということに囚われている。バッキーは心のなかで、次のキャプテン・アメリカになるのはスティーブに選ばれたサムしかいないと思っている。だからサムが自身を疑うなら、自然とバッキーと対立することになるんです」と明かした。
第1話のラストではサムが預けたはずの盾を持つ“新しいキャプテン・アメリカ”が登場。混乱した世界で、ヒーロは本当に必要とされているのか?
これまでのMCU作品でも何度も掲げられてきたヒーローのあり方というテーマを、ドラマシリーズというかたちでさらに深掘りしていく本作。それぞれの想いを抱えファルコンとウィンター・ソルジャーに、この先どのような試練が待ち受けているのか。今後の展開からますます目が離せない!
文/久保田 和馬