『映画大好きポンポさん』平尾隆之監督と、宮崎駿や新海誠との共通点は?

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『映画大好きポンポさん』平尾隆之監督と、宮崎駿や新海誠との共通点は?

杉谷庄吾【人間プラモ】の同名コミックをアニメーション映画化した『映画大好きポンポさん』(公開中)のスタッフ登壇舞台挨拶が6月19日にEJアニメシアター新宿で開催され、平尾隆之(監督・脚本)、足立慎吾(キャラクターデザイン)、居村健治(演出)が登壇。スタッフ陣の言葉から、平尾監督がこだわりの人であることが明かされたこの日。宮崎駿や新海誠ともタッグを組んできた居村は、3人の共通点も語った。

本作の主人公となるのは、敏腕映画プロデューサー、ポンポさんのもとで製作アシスタントをしている青年ジーン(清水尋也)。映画を撮ることに憧れつつも、自分には無理だと卑屈になっていたジーンが、ポンポさん(小原好美)に才能を見いだされ、映画監督に大抜てき。新人女優のナタリー(大谷凜香)をヒロインに迎えて、映画撮影に挑む姿を描く。

平尾監督と仕事するにあたって、足立は「平尾さんってどんな人ですか?」と周囲に聞いてみたという。足立は「『フィルムに対するこだわりがヤバいので、脱落者が多い。大変だ。やめておいたほうがいい』という話をされた」と楽しそうに述懐。「でも自分はそういう人が好き」だそうで、「平尾さんが新しい会社で、『ポンポさん』に臨まれていると聞いて。ゼロの状態から再起する時って、人間はいい仕事をする。過去の自分を見ているような気もしたし、平尾さんの才能と状況にベットしました」と語る。「すごく感動した。こんなにいい作品になると思わなかった」と完成作に惚れ惚れとしたそう。

平尾監督は「ありがとうございます」と照れ笑いを浮かべつつ、「足立さんの絵が好き。シンプルなデザインのなかに確かなデッサン力がありつつ、魅力的なキャラクターを描ける」と足立への信頼感を吐露。「(自分が)こだわりすぎてしまった時に、離れていったりする人も多かった。監督をやるとなった時に、手伝ってくれる人はいるんだろうかと不安もあったので、足立さんの言葉に励まされた。『足立さんがキャラクターデザインなら、手伝ってみたい』と言ってくれる方も増えた。感謝しかない」としみじみと語っていた。

また若い人たちへの応援歌になるような、幅広い層に訴える作品であったことから、足立は「広く受け取ってもらえる作品でありながら、ポンポさんはアニメファンにもかわいいと思ってもらえるような絵柄を作る必要があると思っていた」といい、さらに「線が増えると、アニメーターの仕事が増える。1枚描くのが大変だと、2枚目を描きたくなくなってしまう。なので、2枚でも、3枚でも描いて、動かしたいと思うようなデザインにすることが大事。映画はたくさん動かせるので、スタッフもたくさん動かして楽しもうと思えるようなデザインにしないと、映画が動いていかない」と持論を述べていた。


【写真を見る】『映画大好きポンポさん』スタッフ登壇舞台挨拶の様子
【写真を見る】『映画大好きポンポさん』スタッフ登壇舞台挨拶の様子

居村は「以前はスタジオジブリでずっと監督助手を務めていて、(新海誠監督作の)『君の名は。』『天気の子』では演出として参加させていただいた」と自己紹介。「平尾さんはデジタルネイティブなところがあって、作画の処理や風景の見せ方が上手な方。そこで僕が提供できるものはなんだろうと考えると、日常芝居の部分を補強して、キャラクターを立てることができるのではと思い、参加させていただいた」と自身の役割について語る。

平尾監督が「居村さんの指示はものすごく的確。作品への理解度が高いので、こちらの意図を汲み取って、言語化してくれる。その能力たるや」と驚くなか、足立は「宮崎さん、新海さん、平尾さんと仕事をされて、それぞれの違いは?」と居村に直球質問を投げかけた。居村は「イメージが明確。それは皆さん、共通しているところ」と切りだし、「ご自身でも動画の絵自体をなおすし、原画も直すし、背景にも手を入れる。新海さんのやり方と近いところがある。情け容赦ないところもちょっとあって、そこがおもしろいところ。どこのセクションにも踏み込んでくる」と笑いつつ、こだわりの監督陣の仕事ぶりを称えていた。

平尾監督は「『ポンポさん』が縁をつないでくれて、足立さんと居村さんと仕事をすることができた。こういった作品がつなぐ縁は大事にしていきたい。『ポンポさん』を観てくださった皆さんも縁の一部」と会場に語りかけ、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝


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