「妖怪・特撮映画祭」で特撮講座が開催!「平成ガメラ三部作」の舞台裏に興味津々

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「妖怪・特撮映画祭」で特撮講座が開催!「平成ガメラ三部作」の舞台裏に興味津々

映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(8月13日公開)に先駆けて、角川シネマ有楽町、ところざわサクラタウン・ジャパンパビリオン ホールBで「妖怪・特撮映画祭」が開催中だ。これを記念し、現場の第一線で活躍中の特撮スタッフを招いたトークイベント「特撮講座」が週替りで行われている。7月29日には、角川シネマ有楽町で『宇宙人東京に現わる』(56)が上映された後、『ゴジラVSビオランテ』(89)や「平成ガメラ三部作」など数多くの作品の視覚効果を手掛けた松本肇による講座が開催された。

『宇宙人東京に現わる』は、パイラと呼ばれる星から地球を観測していたパイラ人が、地球上で頻繁に起きる原子雲を見つけ、おろかな地球人に、自分たちがいかにして原子力を平和的に使ったかを知らせようと、宇宙船に乗って地球にやってくるという奇想天外なSF映画。

1968年製作の『妖怪大戦争』
1968年製作の『妖怪大戦争』[c]KADOKAWA1968

松本は本作について「スクリーンで観るのは30年ぶりくらいです。本作は日本初のカラーのSF映画で、特撮のカラー作品としても最初の作品です。いきなりなにが起きるのか、説明がないまま天変地異が起きます。実は『地球最後の日』という洋画が1951年に公開されたんですが、それを知ってるという前提で作られた映画だから(苦笑)。特撮的に言えば、一瞬わからないような銀座の町並みとかが良くできていると思います」と解説。

大映映画の思い出について尋ねられると「大映作品で関わったのは、安田成美主演の映画『トロピカルミステリー 青春共和国』かな。そういえば当時、大映のロゴマークのオリジナルの原画を撮影したんです。シネマスコープ全盛期でビスタサイズのものがなくて、保管されていたマット画を使ってビスタサイズのものを撮影した覚えがあります」と当時の思い出を語った。

また、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)からスタートした「平成ガメラ三部作」を手掛けた時代を振り返り、「例えば『ガメラ』で言うと、合成カットが300あったとして、1作目は15~20%がデジタルだったけど、3作目だと90%がデジタルで、残りの10%がオプティカル。わずか5年間で、一気に日本にもデジタルの波がやってきました。アナログの時代は、デジタルのいまとは違って“一発勝負”が合言葉だった。壊しものをやる時は、多少のことは目をつむるけど、『ゴジラの逆襲』で、間違えて大阪城を壊してしまい、1週間後にまた同じものを作るといった労力も使っていた」としみじみ述懐。


「妖怪・特撮映画祭」が開催中
「妖怪・特撮映画祭」が開催中

最後に、デジタルの発達でのメリットとデメリットについては「良くなったことと困難なことは同じですね」と言う。
「デジタルの良さは、1から工程をやっていって、良くないとなっても、すぐにゼロからやり直せる。つまり、何度でもやり直せるわけです。でも、アナログの時代はそう簡単にはいかないから、すごく緊張感がありました。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などを観ていても、絶対にこれだ!という美学をとことんまで追求してるなと思いますし。ただ、アナログの時代だと、みんなが目指すものを一気に出すという集中力がフィルムに映るんです。それらは相反するけど、どちらもしかりです」と語って、観客をうならせた。

なお、本イベントに続く「特撮講座」第2弾は、特技監督・特撮デザイナーの三池敏夫を招いて、8月5日(木)19:55~に開催予定。特撮映画ファンの方は、その道のプロたちが語る貴重な裏話を堪能してみては。

※記事初出時、作品名、用語の表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

取材・文/山崎伸子


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