北米ランキングは『シャン・チー』の独壇場!コロナ禍最速の1億ドル突破&MCU作品トップの評価と新記録続々
「レイバー・デイには誰も映画を観たがらない」という迷信があるように、サマーシーズンの終わりを告げるレイバー・デイの連休は、通常であれば年間を通じて有数の閑散期として知られている。今年はそれにコロナ禍というマイナス要素も加わったわけだが、あらゆる不安を吹き飛ばすように、MCUの最新作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(日本公開中)が強烈なスタートダッシュを遂げることとなった。
先週末(9月3日から5日)の北米興収ランキングが『シャン・チー』の独壇場になるのはあらかじめ予測されていたこと。目下の注目は、ディズニープラスでの同時配信をせずに45日間の劇場限定公開という方式をとった同作がどれだけのオープニング成績を挙げられるかの一点にしぼられていた。
初日から3日間の興行収入は、4300館で7538万ドル。これは7月に公開された『ブラック・ウィドウ』(21)の8036万ドルには及ばないものの、2020年と2021年の公開作でナンバー2の好成績。しかも祝日となった月曜日と平日の火曜日を加え、公開から5日間で北米累計興収1億ドルの大台を突破。これは『ブラック・ウィドウ』よりも1日早く、コロナ禍以前に公開された『ドクター・ストレンジ』(16)や『アントマン&ワスプ』(18)よりも早い。また海外興収を含めればすでに1億5000万ドルを突破している。
さらに批評を集積するサイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家の92%が本作に好意的な評価を寄せていることがわかる。これは『ブラック・パンサー』(18)や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)など、近年高評価が多く見られるMCU作品ではさほど驚くべきスコアではないものの、目を見張るのは観客からの好意的評価の割合の高さだ。分母が増えていくにつれて徐々に減少するのが常ではあるが、公開から約1週間を迎える木曜日の時点で98%と、歴代MCU作品でナンバー1のハイスコア。もしかするとオスカーレースへの参戦も夢ではないかもしれない。
前週1位を飾った『キャンディマン』(10月15日日本公開)など、ほとんどの作品が前週から順位を一つ落とすなか、『ジャングル・クルーズ』(日本公開中/ディズニープラス プレミアアクセスで配信中)は4位をキープ。また『ブラック・ウィドウ』は前週からほぼ横ばいの興収を維持してベストテン圏内に返り咲くなど、『シャン・チー』の勢いに続くようにディズニー作品は軒並み好調。
『シャン・チー』と同じく45日間の劇場限定公開を行っているライアン・レイノルズ主演の『フリー・ガイ』(日本公開中)も堅実にトップ3圏内を保ち、北米累計興収1億ドル突破も目前。劇場と配信の同時でも息の長い興行が可能だと証明してきたとはいえ、やはり劇場限定のインパクトには敵うはずもない。次のMCU作品である『エターナルズ』(11月5日日本公開)も劇場限定公開となる見込みとも報じられており、今後ディズニーをはじめとしたメジャースタジオ各社の動きに注目が集まるところだ。
文/久保田 和馬