SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021授賞式は異例尽くし!マルタ映画がグランプリ!SKIPシティアワードは短編映画が初受賞

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021授賞式は異例尽くし!マルタ映画がグランプリ!SKIPシティアワードは短編映画が初受賞

9月25日から10月3日までの9日間、オンライン開催された第18回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の授賞式が、SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザで開催。コンペティション長編部門の優秀作品賞はマルタ映画『ルッツ』、国内コンペティション長編部門の優秀作品賞は萱野孝幸監督作『夜を越える旅』で、SKIPシティアワードは酒井善三監督の短編映画『カウンセラー』が選ばれた。

SKIPシティアワード受賞作『カウンセラー』の酒井善三監督
SKIPシティアワード受賞作『カウンセラー』の酒井善三監督

2021年は海外から807作品、国内からは長編が82作品、短編が195作品と、104の国と地域から計1084作品の応募があり、昨年の1169本に次ぎ、過去2番目に多い本数となった。そのなかから、国際コンペティション部門が10作品、国内コンペティションは長編部門6作品、短編部門8作品がエントリーされた。授賞式では、最優秀賞作品賞(グランプリ)ほか各賞が、YouTube Liveで各賞が生配信で発表された。審査員および海外作品の受賞者はビデオメッセージにて、国内作品の受賞者はZOOMで参加。

「優秀な作品ばかりだった」と審査員たちが口々に語った2021年の募集作品。国内コンペティション部門では、萱野孝幸監督作『夜を越える旅』が長編部門の作品賞と観客賞を、逢坂芳郎監督作『リトルサーカス』が短編部門の作品賞と観客賞をそれぞれがW受賞した。特筆すべきは、SKIPシティアワード受賞作『カウンセラー』で、同映画祭としては初めてとなる短編映画が選ばれた。

『夜を越える旅』の萱野孝幸監督はオンラインで登場し「本当に恐れ多いのひと言です。まずはクルーとキャストに最高の報告ができたことをうれしく思います。この賞をいただいたことは、『夜を越える旅』にとって最大の事件です。これからも精進していきたいと思っています。ありがとうございます」と喜びを口にした。

優秀作品賞長編部門受賞作『夜を越える旅』の萱野孝幸監督
優秀作品賞長編部門受賞作『夜を越える旅』の萱野孝幸監督


また、『リトルサーカス』の逢坂監督からは、喜びのコメントが代読された。「本当にすばらしい作品ばかりが集まるコンペティションのなかで2つの賞をいただけることは、信じられない想いです」と語り、カンボジアでロケを敢行した本作について「この作品は実際に、コロナ禍で苦境に立っているカンボジアのサーカス団に寄り添い製作しました。 体を使って生きる力や喜びを表現するカンボジアサーカス団は、舞台上でも舞台の外でもまぶしいほどにたくましい笑顔にあふれています。そのエネルギーをこの映画を通じて、日本の皆さんに少しでも伝えられればという思いで制作しました」とあふれる想いを口にした。

SKIPシティアワードを受賞した『カウンセラー』の酒井監督はオンラインで登場し「スタッフ、キャスト、支援者の方々には、また別にお礼のご連絡をしたいと思ってますので、今この場では作品の代表者として、この先の見えない困難な状況で、いろいろなことを調整くださった映画祭運営の方々、ほかの作品、出品者、関係者の方々、そしてモニターでご覧いただいたみなさまに御礼を申し上げたいと思います」と感謝の言葉を述べた。

続いて酒井監督は「『カウンセラー』は、ご覧になる方によって、またご覧になるタイミングによって、まったく別のものを受け取られる作品になっていればいいなと思っています。 10月30日より東京の下北沢トリウッドで公開されますので、ぜひ暗闇の中で大音量でご覧いただけたらうれしいです」とアピールした。

国内コンペティション審査委員長は鈍牛倶楽部代表取締役でプロデューサーの國實瑞惠

国内コンペティション審査委員長を務めた、鈍牛倶楽部代表取締役でプロデューサーの國實瑞惠は『カウンセラー』について「いままでの日本ホラーにない、人間をえぐることで観客を引き込むポテンシャルの高さを感じました。まさしくおもしろさにハマりました」と称えた。

国際コンペティション部門では、カーウェ・モディーリ監督作『ミトラ』と、ジェフリー・セント・ジュールズ監督『シネマ・オブ・スリープ』の2作品が審査員特別賞を受賞するという異例の結果に。映えある最優秀作品賞は、『ルッツ』のアレックス・カミレーリ監督が受賞。マルタ諸島の作品としては、初のエントリーにして最高峰の賞に輝いた。

『ルッツ』のアレックス・カミレーリ監督

カミレーリ監督はビデオメッセージで「グランプリ受賞は本当にすばらしいことで、優れた映画制作チームにも感謝の意を評します。これ以上の喜びはございません。私たちはたくさんの愛と信念を持って、この作品を作りました。小さな場所の小さな物語が、遠い場所まで届くことができると信じていました。この受賞によって、その信念は間違ってなかったと思いました」と喜びを語った。

国際コンペティション審査委員長を務めた俳優で映画監督の竹中直人

国際コンペティション審査委員長を務めた竹中直人は『ルッツ』について、「どれもこれもすばらしい作品で、感情移入してしまいましたが、そのなかでも『ルッツ』はズシンと心に残っちゃいました。船の色合い、なんといっても俳優さんの芝居が見事。演じているのは本物の漁師の方々だけど、芝居がみんなすごかったです。最高の映画でした」と絶賛した。

最後に土川勉ディレクターは「今年は一つの賞に2つの作品が受賞という結果もありましたが、これは審査会が議論を尽くしての最善の結果です。また、会期中、自分の作品を大きなスクリーンで観たかったという監督がいましたが、叶わぬこととは思いつつも、残念に思い、心を痛めました」と苦しい胸の内を語りつつ「オンライン配信により、各作品を毎日視聴できるため、各作品に対する投票状況が日に日に変化していくのを、興味深く見守ることができました。観客賞の受賞者の皆さまには、本当に熱い観客からの声援であることをお伝えし、お祝い申し上げます」とオンラインでの反響を語ったあと、すべての映画監督やスタッフ、キャストに向けて熱いエールを贈った。

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