松田優作の没後33年に、『家族ゲーム』の母子が再会!「お互いにいい歳になりました」

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松田優作の没後33年に、『家族ゲーム』の母子が再会!「お互いにいい歳になりました」

現在開催中の第34回東京国際映画祭で5日、「日本映画クラシックス」部門に出品されている森田芳光監督の『家族ゲーム』4Kデジタルリマスター版のワールド・プレミアが開催。上映後の舞台挨拶に、同作で沼田千賀子役を演じた由紀さおりと、沼田茂之役を演じた宮川一朗太、国語教師役を演じた伊藤克信の3名が登壇。本日11月6日に没後33年を迎えた松田優作や、森田監督、伊丹十三らを偲びながら、撮影当時の思い出話に花を咲かせた。

第57回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画第1位に輝いた本作は、本間洋平の同名小説を原作にしたシュールなホームコメディ。高校受験を控えている沼田家の次男・茂之は、兄の慎一とは対照的にパッとしない成績。そこで家庭教師がつけられることになるのだが、やってきたのは三流大学の7年生という風変わりな男・吉本だった。父・孝助との約束通り、吉本は茂之の成績を上げていくのだが…。


【写真を見る】由紀さおりがしみじみ明かす、松田優作と伊丹十三との“昼食”エピソードとは
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「今日は同窓会のような気分です」と穏やかな笑みを浮かべる由紀は、劇中で息子役を演じた宮川に「変わらないね。最初に会った時からこのまんま。息子がこんなふうに社会人になるなんて思いませんでした」としみじみ。そして「お兄ちゃん(慎一役の辻田順一)とは話す機会があまりなかったけれど、一郎太は人懐っこい坊やだったからね。お互いにいい歳になりました」と約40年前を懐かしむ。

トークのメイントピックとしてあがったのは、いまなお伝説として語り継がれているクライマックスの7分半の長回しシーン。「一日がかりで何度も何度もお稽古をして、決まった段取りのなかで撮影しました」と明かす由紀は「役柄的にはあまり問題意識を感じない方がいいんだと思い、私は大してリアクションをせずに漬物ばかり食べていました」と振り返り、これがデビュー作となった宮川も「僕は長回しの大変さをわかっておらず、段取りをしていたら優作さんが『もう本番やろうぜ』って言って、一発OKだったんです」。

同作でデビューを飾った宮川一朗太は松田優作の凄さを熱弁!
同作でデビューを飾った宮川一朗太は松田優作の凄さを熱弁!

さらに宮川は「僕ら息子に出された指示は『なにがあっても兄弟喧嘩をやめるな』と、ある瞬間に間を取るということだけでした。あとはすべて優作さん任せで、最後にテーブルを持ち上げていくところも、画を見てこれぐらい上げればばっちりというのもなかったので、優作さんの計算なんです。でも画面のなかにしっかり収まっていて、本当に見事な芝居だと思いました」と、名優の類い稀なる才能にいまだに脱帽しっぱなし。

そんな松田について、由紀も「悪い意味じゃなくものすごい威圧感を持った人でとにかくパワフルで、それでいてすごくお優しい方でした」と語り、撮影期間中に孝助役の伊丹と3人でよく昼食を摂っていたというエピソードを明かす。「お2人はいつも映画の話をしてらっしゃって、伊丹さんは中空きがあるとスクーターに乗って新宿に映画観に行ったりしていて。ご飯食べるのも忘れて2人で映画の話をしていらして、それを私はそばで聞いているだけで幸せでしたね。こんな時間がいただけたんだなあと、いま思うとね…」と感慨深げな表情を浮かべていた。

『家族ゲーム』4Kデジタルリマスター版は、11月21日(日)21時から、11月23日(火・祝)8時50分から、11月25日(木)23時10分から、それぞれ「日本映画専門チャンネル」にて放送(2Kダウンコンバートにて放送)。今回行われた舞台挨拶の模様もあわせて放送されるので、是非ともチェックしてみてはいかがだろうか。

取材・文/久保田 和馬


さらなる進化を目指す、「第34回東京国際映画祭」特集

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