第3回大島渚賞は藤元明緒監督に決定!『海辺の彼女たち』でベトナム人女性労働者たちを描く
2019年にPFF(ぴあフィルムフェスティバル)が創設し、今年で3年目を迎える「大島渚賞」の受賞者が藤元明緒監督に決定。あわせて記念上映会が開催されることがわかった。
『愛のコリーダ』(76)、『戦場のメリークリスマス』(83)ほか話題&問題作を多数手がけた大島渚監督は、『愛の亡霊』でカンヌ映画祭の最優秀監督賞を受賞。世界を視野に活躍するなか、毎年PFFに応募された8mmの自主映画を多数鑑賞して次世代を応援し続けた。また1979年から1988年、そして1992年には「PFFアワード」(※1988年よりコンペティション形式)の審査員も務めたという。
坂本龍一が審査委員長、黒沢清監督およびPFFディレクターの荒木啓子が審査員を務める「大島渚賞」は、映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとする若くて新しい才能に対して贈られる賞のこと。かつて大島監督が高い志を持って世界に挑戦していったように、それに続く次世代の監督を期待と称賛を込めて顕彰する。第1回では『鉱 ARAGANE』(15)、『セノーテ』(19)の小田香監督が受賞し、昨年は“該当者なし”となっていた。
藤元監督は在日ミャンマー人家族を描く初長編『僕の帰る場所』(18)が東京国際映画祭をはじめ33の国際映画祭で上映され、長編二作目『海辺の彼女たち』(21)では、寒々しい海辺で懸命に生きるベトナム人の元技能実習生たちの姿をリアリズムに徹した文体ながら温かな眼差しで描き、今回の受賞となった。
また4月3日(日)には東京・丸ビルホールで記念上映会の実施も決定。『海辺の彼女たち』と大島監督の国際的評価を高めた『絞死刑』(68)が上映予定となっているほか、荒木のMCで藤元監督、黒沢監督、ドキュメンタリー監督の大島新監督によるトークショーも開催される。この機会に、映画界に新風を吹き込んだ新旧の秀作を堪能してみてはいかがだろう。
文/足立美由紀