行動する必要性を訴える「映画監督有志の会」ハラスメント防止に向け提言書提出
映像業界におけるハラスメントや暴力に関する問題が取り沙汰されるようになり、自らの反省と根絶する意思を表すべく3月18日に「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」という声明を、是枝裕和、諏訪敦彦、岨手由貴子、⻄川美和、深田晃司、舩橋淳(五十音順)の連名で発表した「映画監督有志の会」。同会が、日本映画製作者連盟に対する要望活動を4月13日に行った。
内容は、映像業界が自らの問題として真摯に向き合い、具体的な対策を実施してゆくための提言書を提出するというもの。主な点として、ハラスメント撲滅に対する声明の発表、実態の検証、調査、防止対策の具体化、そして第三者機関による相談窓口の設置だ。日本映画制作者連盟への提言書提出に出席したのは映画監督有志の会メンバーである諏訪敦彦、西川美和、深田晃司、舩橋淳の映画監督4人と、四宮隆史弁護士。提言書提出時には、メンバーそれぞれが発言し、いま行動していく必要性を訴えた。
諏訪監督は「現在、労働環境等の改善に向けて映連でも協議中かと思いますが特にハラスメントの問題については、業界でも影響力の強い映連からも、声明でなくてもなにかしらの指針、方針を打ちだしていただいた方が、広く社会に伝わり、具体的な対策実施に向けても強い推進力を得られるのではないでしょうか」とコメント。深田監督は「表面化してなくても、調査や報告、そして我々に寄せられているメッセージを見ると、事態はかなり深刻です。映画業界は、俳優にかかわらずスタッフも多くはフリーランスの方で支えられてますが、特にそのフリーランスの方が相談できる機関、受け皿がない状況で、いま、このタイミングで、スピード感をもって動いていくことが大切」と訴えた。
舩橋監督は「明らかな犯罪以外の「グレー」なハラスメントに対する業界内での基準は曖昧というか制度が整備されてないのが実情です。問題の理解・把握の次には自分たちでガイドラインなりを策定することはできないでしょうか」と提言。西川監督は「韓国映画界の現場もここ数年で劇的に改善されたと聞きます。各国で急速に措置が取られていて、困ったときに声をあげて連絡できる第三者機関も置かれています。何か施作をすれば、一気に『0』にはならなくとも、確実に変化があるのでは」と韓国映画界の現場を例に挙げ、行動の必要性に触れた。
現在、映連でも鋭意、改善に向けての対応策を協議中とのこと。日本映画業界の今後の動向が注目される。
文/タナカシノブ