小林聡美主演『ツユクサ』公開!松重豊の”ささやかな幸せ”は「冷凍庫にあるイチゴのアイスキャンディーを確かめる時」
4月29日、テアトル新宿にて、映画『ツユクサ』の初日舞台挨拶が開催され、小林聡美、松重豊、斎藤汰鷹(たいよう)、平山秀幸監督が登壇した。
本作は、『ふしぎな岬の物語』(14)の脚本家、安倍照雄によるオリジナルストーリーを『閉鎖病棟 それぞれの朝』(19)の平山秀幸監督が、小林聡美主演で映画化した作品。過去を抱えながらも“いま”を生きる主人公・芙美に、これから訪れるであろう幸福や希望を爽やかに映し出す大人のおとぎ話。『閉鎖病棟 それぞれの朝』の平岩紙、『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(21)などの松重豊が共演する。
撮影は約1年前。10年以上温めていたという企画が無事に映画化され、完成した。平山監督は、「台本の中に”ほっこり”とか、”ほくっと”という言葉が書かれていたのですが、撮影中や編集中はその言葉の意味がよく分からないままで。でき上ったら、なんとなくほっこりしているねと人から言われて。映画を観てほっこり、ほっくりしていただけたらうれしいです。(キャスティングは、自分自身が)見ていたいと思う人たちに来ていただきました」と話す。
主演作が公開初日を迎えたことについて、小林は「本当にこの映画はコロナ禍でありながらも、トントンと順調に進んだのですが、ようやく船出の日を迎えたという晴れがましい気持ちです」と喜びの表情。松重は「年々、ゴールデンウイークの過ごし方が分からなくなっていて。ちょうど『ツユクサ』のような作品を見たいなと」と、お茶目に話し、会場から笑いを誘った。
また、芙美の歳の離れた親友、航平役を演じる斎藤をキャスティングしたポイントについて聞かれた平山監督は「彼はオーディションに来て、1番最初だった。みんな『あの子だよね』と話していた」と回答。すると斎藤は「あざーす!」と、元気良く感謝。松重が「なにやったの?」と不思議そうな顔をすると、平山監督は「なにもやってない。自然体だったんですよね」と振り返り、小林も頷きながら「(親友役として演じていて)私も年の差を感じなかった」と振り返った。これに斎藤は「なかにおっさんが住んでいる。食べ物の好みとか渋いから。演じているときは“おっさんぽさ”を隠していた」と明かしていた。
さらにイベントでは、作品の内容にちなんで“これこそささやかな幸せ”と思えるエピソードを各メンバーが披露。小林は「最近ささやかなことばっかり幸せと思えてありがたい。朝起きて空模様がきれいだと、それだけでうれしい」、松重は「おいしいイチゴのアイスキャンディーの話をしていたら、それにハマって、それが冷凍庫の中にちゃんと数あるというのを見るだけで幸せ。今日はちょっと頑張ったなという日に食べています」、斎藤は「布団に入って寝落ちする瞬間。目をつぶる瞬間が気持ちいい~って」、平山監督は「冬の夜中にトイレから返ってきて、もう1回寝る時」と回答していた。
取材・文/平井あゆみ