辛酸なめ子が語る、40周年『E.T.』をいま観るべき理由「まるで人類への予言のよう」

インタビュー

辛酸なめ子が語る、40周年『E.T.』をいま観るべき理由「まるで人類への予言のよう」

スティーヴン・スピルバーグ監督によって生みだされ、世界中の観客を虜にしたSFアドベンチャー映画『E.T.』(82)。いまなお愛され続けている不朽の名作が今年2022年に公開40周年を迎えたことに合わせ、MOVIE WALKER PRESSでは、40周年を記念して発売される公式グッズの最新情報を紹介しながら、本作の魅力を改めて検証する連載企画を実施中。今回は漫画家、コラムニストの辛酸なめ子を直撃した。

世界中の観客を虜にしたSFアドベンチャー映画『E.T.』が、公開40周年を迎えた
世界中の観客を虜にしたSFアドベンチャー映画『E.T.』が、公開40周年を迎えた

辛酸は「少年と宇宙人の友情、1980年代の香りなど、本作には“エモさ”が詰まっている」と惚れ惚れ。エリオットの妹ガーティを演じたドリュー・バリモアとは同い年だという彼女が、バリモアのすごみを語ると共に、「E.T.は、スマホ時代に警鐘を鳴らす存在かもしれない」と辛酸ならではの視点で、いまこそ本作を楽しみたい理由について語ってくれた。

「E.T.によって、宇宙人にポジティブなイメージを持つことができた」

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【写真を見る】モフモフぬいぐるみに、おしゃれなアパレルも!様々な『E.T.』グッズが各社から発売[c]Everett Collection/AFLO

10歳の少年エリオット(ヘンリー・卜ーマス)と、地球にたった一人置き去りにされた宇宙人“E.T.”の交流を描く本作。1974年生まれの辛酸と本作の初めての出会いは、「小学生くらいの時に初めて観ました。うちは両親が教師で、すごく厳しい家庭で育ったんです。だから子どものころは、ラブシーンなどがある映画は観させてもらえなかったんです。『E.T.』はスピルバーグ監督の作品だし、少年少女の物語ということで『この映画なら大丈夫だろう』と両親も安心できるものとして、観ることができた映画なんです」と述懐。

幼いころの辛酸にとって、「地球の子どもと宇宙人との友情と別れにすごく感動した」と心揺さぶる映画となったそうで、エリオットら兄妹がE.T.と友情を育んでいく過程を目にして、「『宇宙人って怖くないんだ』という新たな価値観を身につけた」のだそうだ。


エリオットとE.T.は、確かな友情を育んでいく
エリオットとE.T.は、確かな友情を育んでいく[c]Everett Collection/AFLO

「当時、両親が『V』というドラマシリーズを観ていて。『V』に出てくる宇宙人は地球に侵略目的でやって来て、見た目も爬虫類っぽくてとても怖かったんです。でもE.T.を通して、宇宙人にポジティブなイメージを持つことができました」と語るが、改めてE.T.の造形を観察してみると「結構、質感がヌメっとしていますよね。首も伸び縮みしたりして、ちょっと怖い。もし小さなころに家にE.T.がやって来たとしても、私だったら触れなかったかもしれません」と笑う。

「地球の子どもと宇宙人の友情に感動した」と話す
「地球の子どもと宇宙人の友情に感動した」と話す

それでいて映画を観ているとどんどんかわいらしく見えてくるのがE.T.の不思議な魅力で、辛酸は「E.T.は不恰好かもしれないけれど、とても心優しくて、友だちになれる存在。また、目元もポイントだと思います。ここ数年はみんなマスクをしているので、目を見て『この人はどんな人かな?』『友だちになれるかな』と思うこともあるんですが、E.T.はとてもつぶらな瞳をしていて、見ていると『優しそうだな』と感じられる。キャラクターにとって、目ってとても大切なんだなと思います」とE.T.に愛情を傾けながら、「アメリカって宇宙人の存在を信じている人の率が、とても高いんですね。宇宙人と交流してみたいと思っている人が多い。本作にはそういった憧れが詰まっていて、『どこかに友だちになれるような宇宙人がいるかもしれない』という夢を見させてくれる。ロマンが広がります」と想いを巡らせる。

■『E.T.』40周年 公式グッズページ
https://nbcuni.co.jp/et-goods/


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