坂東玉三郎、『AKAI』舞台挨拶で、篠山紀信に若き赤井英和の撮影を依頼したエピソード明かす
不世出の天才ボクサー・赤井英和の軌跡を追ったドキュメンタリー映画『AKAI』の公開記念舞台挨拶が10日都内劇場で行われ、赤井のほか、メガフォンを取った息子でプロボクサーの赤井英五郎監督、さらにスペシャルサンクスとして本作にクレジットされている歌舞伎俳優の坂東玉三郎が登壇した。
本作のポスターに使用されている23歳当時の赤井の肉体美を撮影したのは、写真家の篠山紀信。その撮影を思いついて篠山に依頼した張本人こそ、玉三郎だった。現役時代から赤井と付き合いのある玉三郎は「アメリカに行く前の赤井君の美しい肉体を撮っておくべきだという単純なインスピレーションで思いつきました。皆さんの目に触れることのない記録として保管していたものを英五郎君がご覧になり、お父さんへの想いとしてつながって今回のポスターに使用されたわけです」と解説。
赤井は「若旦那(玉三郎)と篠山先生には感謝しかないです!」と恐縮すると、玉三郎は「美しい青春の一コマですね」と当時を懐かしがりながら「赤井君には野性的な雰囲気があって、この写真も無意識の中で撮られたもの。意識するとこういう雰囲気は出ません。ですから赤井君はほとんど動物」と笑わせた。
一方、封切りを迎えた心境を問われた赤井は「ドキがムネムネしますね!」とキレのいい親父ギャグを炸裂させながら、「初日を迎えた昨日は、勝手にお客さんの前に出て誰の許しも得ずに挨拶をさせてもらいました。皆さん楽しんでくれたようで良かったですわ」とサービス精神旺盛。英五郎監督は「友達からも連絡をもらって『元気をもらった!自分も頑張らねば!』と言われました。映画を観て終わりではなく、作品に込めた僕の想いが伝わったようで感謝です」としみじみ。
現役時代の赤井のハードな試合場面も見どころだが「試合のすごさ以上に僕が感動したのは、赤井英和を応援してくれた観客の顔と歓声。この映画も主演は赤井英和だけれど、準主役はそんな赤井を支えてくれた観客の皆さんです」とファンたちの支えに感謝しきりだった。
取材・文/石井隼人