グザヴィエ・ドランがドラマへの愛を語る「ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと」最新インタビュー映像が到着
グザヴィエ・ドランが初めて手掛けるテレビドラマ「ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと」がスターチャンネルEXにて現在独占配信されている。BS10 スターチャンネルでも3月6日(月)より日本初放送が開始となる本作より、ドランの最新インタビュー映像が到着した。
既に第1話が配信され、SNSでも大きな反響を呼んでいる本作。1991年、ケベック州の郊外を舞台に、ラルーシュ家のジュリアン(パトリック・イヴォン)、妹のミレイユ(ジュリー・ルブレトン)と、向かいに住むゴドロー家のロリエ(ピエール・ガブリエル・ラジョイ)の仲良し3人組の物語を描く本作。ある夜の事件を境に3人の人生は一変。秘密を抱えたままミレイユは町を離れ、家族と距離を置くようになってしまう。それから約30年、母の危篤という連絡を受け、ミレイユが帰郷。ジュリアンとパートナーのシャンタル、次男のドゥニ、ドラッグのリハビリ施設から出てばかりの末っ子エリオットら家族が再び集まることになり、葬り去られていた嘘と秘密が明らかになっていく。
インタビュー映像ではドランの初めてのドラマ製作への想いとあわせ、これまで影響を受けたドラマ作品などが語られている。まず本作のテーマについて「このドラマはいわゆるサイコスリラーですが、ある時点で意図的にラブロマンスへと転換していく。視点を変えるとまた違う予想外の物語が見えてくるはずですよ」と解説。初挑戦となるテレビドラマに関しては「ずっとドラマを作りたかったんです。初めて書いたのもドラマの脚本でした」と思い入れを話し、その魅力を「映画よりも時間をかけてテーマや登場人物を描ける。不安定で壊れやすい、彼らの内にある秘密や沈黙を」と説明している。
また、影響を受けたドラマについては「ドラマ好きな母の影響もあって、幼い頃からずっと身近にドラマやテレビがありました。ケベックのドラマやワーナー・ブラザーズ系のドラマ『バフィー ~恋する十字架~』、『チャームド ~魔女3姉妹~』、『ロズウェル/星の恋人たち』、『ヤング・スーパーマン』とか、超常現象の世界に思春期はずっとハマっていました。あとはHBOのドラマとかずっとテレビばかり観ていました。『ナイト・オブ・キリング 失われた記憶』や『シックス・フィート・アンダー』にはいつも自分の作品を作る際に大きな影響を受けています」と当時の思い出とともに紹介している。
あわせて、レオナルド・ディカプリオに憧れファンレターを書き続けた8歳の頃の実体験をヒントに製作した『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(10)や劇中のセリフで言及した『マイ・マザー』(13)など、これまで様々なタイミングで『タイタニック』(87)に言及してきたドランだが、ここでも「『タイタニック』は1997年かな。あれは衝撃でした。壮大な冒険物語や心を揺さぶる恋愛物語。スケールの大きい映画を作りたいと思ったんです」と語っている。終わりに「今回のドラマの撮影や準備は人生で最も心躍る豊かな経験だった。また作りたいと思いますよ。実は既に2つの企画があるんです。脚本は別の人が書くから実現するかは分からないですけどね」と今後の展望を語るが、「でもそれ以外に手を出すつもりはない。この仕事を離れてゆっくり休みたいんです。2つの企画以外は映画もドラマも撮らない。それよりも休息、睡眠、家族、遊び、建築、旅行、グルメ...それと心の健康、セラピーも」と、人間味あふれる率直な気持ちを打ち明けている。
子役として幼い頃から俳優活動を始め、19歳からは監督として映画業界の第一線を走り続けてきたドランにとって、初挑戦であり集大成でもある本作ではどのような物語が描かれているのだろうか?傑作の誕生をぜひ目撃してほしい。
文/鈴木レイヤ