天海祐希、「キントリ」シリーズ完結に「寂しくないと言えば嘘」と告白も「いい形で残る時がいま」と劇場版に自信!
2014年1月より4シーズンに渡り放送された大ヒットドラマ「緊急取調室」のシリーズ完結編となる映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』(6月16日公開)の完成報告会見が5月15日に東京国際フォーラムで開催され、天海祐希、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、大倉孝二、塚地武雅、でんでん、小日向文世、常廣丈太監督が登壇。集大成とも言える劇場版で9年間続いたシリーズの完結を迎え、それぞれが寂しさと感慨を語った。
主演の天海演じる叩き上げの刑事の真壁有希子とクセ者揃いのベテラン取調官たちが、取調室を舞台に犯人との“言葉の銃撃戦”を繰り広げ、事件の裏に隠された真実を暴いていく本シリーズ。ドラマは第4シーズンまで制作され、今年で9年目に突入。満を持して登場した劇場版では、お馴染みのメンバーをはじめ、ドラマのレギュラーキャスト陣が続投。劇場版のゲストとして、市川猿之助と佐々木蔵之介も参戦している。この日は赤一色のステージの中央に用意された大階段から、ビシッとした正装で“キントリ”メンバーが登場した。
「真壁有希子役を9年、演じさせていただきました」と切りだした天海は、「最後が映画ということで、皆さんに観ていただける日が着実に近づいているのをワクワク、そしてビクビクしながら待っている日々です」と挨拶。「『映画になったらいいね』という話は何年も前からあった。実際にこうして形になるんだということにすごく驚いたし、『地味なおじさんたちばかりで映画になるんだろうか』と笑い話でしていたんですが」と周囲のキャスト陣と笑いながら、「本当に形になって、皆さんに観ていだだける目前になっている。幸せで不思議な感じです」と映画化が叶った感想を語っていた。
梶山勝利役の田中は「『映画になればいいな』と話していたけれど、それが最後となると寂しさが勝る。うれしさと寂しさが入り混じった状態で撮影した」と正直な想いを吐露。すると菱本進役のでんでんも「『映画化になった時はおしまいだ』と聞いて、寂しさの方が80パーセントあった。(映画化は)本当にうれしいんですが、もう少し先でもよかったなという気がしている」と続いた。「長く続いた作品に参加させていただいたのは、『キントリ』が初めての経験。自分にとっても『キントリ』は大きな存在。大きな財産の一つ」だという渡辺鉄次役の速水も、映画化について「悲しい気持ちもあった。でもうれしい気持ちもある。9年間ご一緒させていただくといろいろな想いがある」と打ち明けていた。
シリーズのファンも完結に寂しさを抱えている人も多いはずだが、天海は「いい形で残したい。いい形で残る時が、いまなんだろうなと思う。私たち自身も映画として形に残せるのは、とても幸せなこと」としみじみ。「もちろん寂しくないと言えば嘘ですが、でも私も『寂しいです』と言ってしまってもどうなのかと思う。寂しがってくださる方もたくさんいると思うので、一番いい『キントリ』を観てくださいと胸を張って言いたい」と力強く語った。
終始、息ぴったりのやり取りを見せて会場を笑わせていたメンバー。「このメンバーはどのような存在か」と聞かれた天海は「親戚の方たち」とにっこり。ステージでは記者からの質問にも答えたが、「本シリーズは自身にとってどのような作品になったか」と問われると、「これまでの刑事モノとは違う、取調室がメインになる話。皆さんに受け入れていただけるのか不安はあった。9年間続けさせてもらったことが、夢みたいなこと」と明かした天海。「私の役者人生のなかでも9年、同じ作品に携わることはなかった。そこを踏まえると、とても大きな意味を持つ作品だなと思います。いままで自分がやってきた役も同じように大事なものだという前提はありますが、これだけの時間を皆さんと過ごしてこられた。そしてたくさんのすばらしいゲストの方たち、スタッフの方たち、なによりも『キントリ』を愛してくださったファンの皆さんのおかげで、こうやって形になれたのは夢みたいなこと」と喜びをかみ締めていた。
取材・文/成田おり枝