天海祐希ら「キントリ」チームが大杉漣への想い吐露。劇場版完成を「一番喜んでくれているんじゃないかな」
2014年1月より4シーズンに渡り放送された大ヒットドラマ「緊急取調室」のシリーズ完結編『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』(6月16日公開)の完成披露試写会が5月15日に東京国際フォーラムで開催され、天海祐希、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、大倉孝二、塚地武雅、でんでん、小日向文世、常廣丈太監督が登壇。キャスト陣が、ドラマのスタート時から刑事の中田善次郎役としてレギュラー出演し、2018年2月21日に亡くなった大杉漣への想いを明かした。
可視化された特別取調室で厄介な被疑者と対峙する、捜査一課の取調べ専門チーム「緊急事案対応取調班=通称・キントリ」の活躍を描く本シリーズ。主演の天海演じる叩き上げの刑事の真壁有希子とクセ者揃いのベテラン取調官たちが、取調室を舞台に犯人との“言葉の銃撃戦”を繰り広げ、事件の裏に隠された真実を暴いていく。ドラマは第4シーズンまで制作され、今年で9年目に突入。満を持して登場した劇場版では、おなじみのメンバーをはじめ、ドラマのレギュラーキャスト陣が続投した。幕が上がると、ステージの大階段上には登壇者がズラリと並んだ姿がお目見え。会場のファンから歓声が湧き起こるなど、華やかなムードいっぱいにスタートしたこの日の舞台挨拶。天海は先陣を切って颯爽と大階段を歩き、大きな拍手を浴びた。
映画化が実現したことについて、天海は「まさか本当に映画になるなんて。夢のよう」と驚きを明かしつつ、「でんでんさんをはじめ、(キャストが)おじさんたちなので」とキャスト陣を見渡してみんなで大笑い。タキシードでビシッと決めた“おじさんたち”を見て、天海が「華やかでかっこいいはずなんですが、なぜか笑ってしまう」と目尻を下げるなか、“おじさんたち”は「大階段を降りるのが慣れていなくて怖かった」と口々に話し、小石川春夫役の小日向は「天海さんはものすごくかっこいい。アニキという感じ。天海さんの仕切りがあってこその、俺たち。ずいぶん助けられた」と天海の頼もしさに感服。すると梶山勝利役の田中も「階段の降り方を、天海さんに教えていただいた。かかとを階段の壁につけながら降りると、(下を)見なくて済むそうです」とこの日も天海に助けられたことを明かしていた。
また、それぞれが中田善次郎役を演じた大杉への想いを語るひと幕もあった。天海は「(映画の完成を)一番喜んでくださっているんじゃないかなと思います」と切りだし、「常に私たちは『キントリ』をやっている時は、必ず善さん、大杉漣さんがそばにいてくれていると思っているので、離れている感じがしない。『キントリ』の世界には、善さんがいてくださっている。すごく寂しい気持ちはあるんですが、常にいてくださったような気がする」としみじみ。「ずっと一緒にいてくださっていると思います。漣さんに恥ずかしくないように、私たちも最後の映画を作らなければいけなかった。ありがたい存在です」と心を込めた。
さらに「今日、でんでんさんがお持ちのハンカチは…」と磐城和久役の大倉が話を向けると、でんでんが「今日はタキシードを着るので、ハンカチが必要だなと思った。漣さんからいただいたハンカチがあったんです。それでさっきから鼻を拭いています」と会場を笑わせながら、ポケットから取りだしたハンカチを披露。中田善次郎の退職を機に、キントリに異動してきた玉垣松夫を演じている塚地は、「常に善さん、漣さんもいる感じでした」とやはりそばに大杉の存在を感じていたそうで、「漣さんの代わりに入ることへのプレッシャーもありましたし、そうそうたる俳優の皆さんのなかに、畑違いの僕が行って大丈夫なのかという不安はあった。でも、あっという間に家族の仲間入りにさせてもらえたような感じだった」と温かく迎えてくれたチームの面々に感謝しきりだった。
ドラマでは「うぇ〜い」と円陣を組むシーンもおなじみだが、天海によると「漣さんが『やってみようか』と言ってくださった」と大杉のアイデアによって取り入れられたシーンだという。ステージでは田中の「『キントリ』大ヒットに向けて。皆さん、出番です」のセリフをきっかけに、全員で元気よく「うぇ〜い!」と全員で円陣を披露する場面も。ファンも大興奮となるなか、天海は「私たちの9年間が詰まった、ラストの1本。ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです。9年間、ありがとうございました!」と呼びかけていた。
取材・文/成田おり枝