中野量太監督が「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」国内コンペ審査委員長に就任!かつての受賞作応募は「藁をも掴む思いで」
白石和彌監督、中野量太監督、片山慎三監督ら日本映画の新たな才能を輩出してきた「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」。その記念すべき第20回が、7月15日からSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザにて開催される。6月13日、都内で記者発表会が行われ、国際コンペティションの審査委員長を務めるアスミック・エース株式会社取締役の豊島雅郎氏と国内コンペティションの審査委員長を務める中野量太監督が出席した。
同映画祭は、デジタルシネマにフォーカスを当て、国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門&短編部門)を中心にした“若手映像クリエイターの登竜門”として知られている。今回は102の国と地域から合計1,200本を超える過去最多の応募があり、ヨーロッパ、南アメリカ、西アジアなど世界各国からバラエティ豊かな作品が揃った。スクリーン上映とオンライン配信のハイブリッドで開催され、スクリーン上映は7月15日から23日の9日間。オンライン配信は7月22日から26日の5日間となる。
2012年に映画『チチを撮りに』で同映画祭の監督賞を受賞した経歴のある中野監督は「この映画祭から僕は映画監督の道を切り拓いたと言っても過言ではありません。当時は40歳手前でこの作品がダメならば映画を辞めようという思いで応募しました。藁をも掴む思いで、僕を見つけてほしいという気持ちで応募したのを鮮明に覚えています」としみじみ。
国内コンペティションの審査委員長を務める意気込みについては「応募してくれたみんながどんな気持ちで応募してくるのか痛いほどわかるし、責任を持って審査しなければというのも痛いほどわかる。たった一つの賞で人生が変わることがある。僕はその立場に立ったことがあるからこそ、みんなの気持ちが一番わかる審査委員長だと思います」と明かした。
審査委員長としての自身のスタンスは「褒めること」だといい「映画祭の一番の役割は褒めてあげることです。褒められないと続かない。僕自身も褒めてもらいながらなんとか頑張ってきて今があると思うからです。審査委員長として褒めるプラス、僕にしかできないアドバイスができればと思います。新しい才能に出会うのが楽しみ」と期待していた。
国際コンペティションの審査委員長を務める豊島氏は、昨日行われた映画『パーフェクト・デイズ(原題)』で田中泯が作り手に対して苦言を呈したことに触れて「田中泯さんの発言には感銘を受けた。作り手として国民におもねるのではなく、文化として質の高いものを作らなければいけない。その点でもSKIP シティ国際Dシネマ映画祭は質の高い志を持った映画祭であり、世界に誇れる映画祭」などと意気込みを新たにしていた。
取材・文/石井隼人