吉岡里帆、松本まりかの涙のメッセージに「ゆっくりでいい」と寄り添う。『アイスクリームフィーバー』初日舞台挨拶に登壇

映画『アイスクリームフィーバー』(公開中)の初日舞台挨拶が7月14日、TOHOシネマズ六本木にて開催され、吉岡里帆、松本まりか、詩羽(水曜日のカンパネラ)、千原徹也監督が登壇。撮影の思い出や映画の魅力をたっぷりと語り、さらにタイトルにちなみ、今年の夏に「フィーバーしたいこと」も明かした。

川上未映子の短編集「愛の夢とか」に収録の「アイスクリーム熱」を原案に、アートディレクターの千葉が従来の映画製作にのやり方にとらわれない手法で挑んだ初監督作。アイスクリーム店に集う、それぞれの色を纏った4人の女性の想いが交錯する、切なくも爽やかな余韻を残す、アイスクリームのような恋物語が描かれる。

吉岡はバイト長として働くアイスクリーム店にやってくる作家に運命的なものを感じるという役どころを演じている。「モトーラ世理奈ちゃんを一目見た瞬間に『この人と出会えてよかった』という気持ちに自然となりました。人との出会いの素晴らしさやロマンチックさを脚本から感じていて、人とのつながりの尊さを感じながら日々演じていました」と撮影を振り返りつつ、この日のイベントにモトーラが一緒に登壇できなかったことを残念がっていた。

本作で初めて役者に挑戦した詩羽は「お芝居は初めての経験。現場は本当に楽しくて、あたたかくて、かけがえのない時間を過ごしていました。これを機にいろいろな作品に繋げていきたいと思っています。みなさんとまた会えるようになりたいです」と再共演への思いを口にした。

作品の魅力について松本は「この作品は、ファッションやアート、音楽やお芝居などいろいろなカルチャーがミックスされています。すごく個性がぶつかり合っているというか…」と言葉を選びながら話していたが、次第に涙が溢れ出してしまった。

「言葉がうまくまとまらない…」と涙を拭う松本だが、吉岡からの「ゆっくりでいいよ」という言葉に笑顔を見せ、「自分をどう表現していいのかが分からなくて、一生懸命自分たちを表現するけれど、それがうまくいかなかったり、批判されたりとかする世の中になっていて…。この映画は、どんな趣味も嗜好もファッションも、奇抜であっても平凡であっても認めてくれるような作品です」と説明。「個性というものをもっと認め合えばいいじゃないかって思うんです。いろいろあると思うけれど、この映画を観て自分の持っている“個”というものをもっと出して、負けないで欲しい。(個というものを)出していいんだって思って欲しいです」と呼びかけ、映画には個性的なキャラクターがたくさん出ているとし「みんなが認め合える世の中になったらいいなと思います」と訴えた。

涙を流す松本を隣で優しくみまもっていた吉岡は映画の魅力について「まりかさんが全部言ってくださった」と話し、「1人じゃなかなか立ち向かえないことも、誰かとの出会いで乗り越えられたりすることもあります」と自身が演じたキャラクターと重ね、自身の思いも伝えていた。

イベントでは映画のタイトルにちなみ「この夏フィーバーしていること、したいこと」を答える場面も。吉岡は「いま、別の作品の現場に入っていますが、1日の終わりに“サクレ”を食べています」とお気に入りのアイスの名前を挙げる。“サクレ”を知らない千原監督と松本からは共感を得られなかったが、詩羽は「分かります！」と大きくうなずき共感。吉岡のサクレ愛はかなり強いようで、「切ったレモンがのっていて。酸っぱい部分を削りながらちょっとずつ食べるのが好きです」とお気に入りポイントを詳細に伝え、千原監督の会社名にも触れ「監督はレモンライフという会社をやっているのに、知らないなんて」とツッコミ、会場からは笑い声も。松本は「ここ数年フィーバーしていない…」としょんぼりしながらも「この夏は絶対にフィーバーしたい！」と宣言。具体的になにでフィーバーしたいのかを尋ねられた松本は「青い海に行きたいです！」と笑顔を見せ、「青い海、一緒に行かない？」と吉岡に提案すると、「いいですよ。私、フットワーク軽い方なので」と即答で快諾し、詩羽と一緒に“青い海”に行く夏らしい約束を交わした。

取材・文/タナカシノブ