自主映画の歴史を振り返る新企画も始動!「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」のラインナップが発表

映画ニュース

自主映画の歴史を振り返る新企画も始動!「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」のラインナップが発表

9月9日(土)から9月23日(土・祝)にかけて東京の国立映画アーカイブにて開催される「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」のラインナップ発表会が8月9日に開催。映画祭の目玉であるコンペティション部門の「PFFアワード2023」の入選作品をはじめ、招待作品部門の企画や上映作品が一挙に発表された。

557本の応募作から選び抜かれた「PFFアワード」入選作は22本!

【写真を見る】ラインナップ発表会には山中瑶子監督と岡田詩歌監督も登壇!557作品から選ばれた今年の「PFFアワード」入選作品は全部で22本
【写真を見る】ラインナップ発表会には山中瑶子監督と岡田詩歌監督も登壇!557作品から選ばれた今年の「PFFアワード」入選作品は全部で22本

1977年にスタートし今年で45回目を迎える「ぴあフィルムフェスティバル」は、日本初の自主映画を対象とした本格的なコンペティション「PFFアワード」をメインプログラムに、これまで森田芳光や黒沢清、成島出、矢口史靖、李相日、荻上直子ら170名を超えるプロの映画監督たちを輩出。今年も「PFFアワード」には557本の応募があり、そのなかからセレクションメンバーの厳正な審査を経て22作品が選出された。

発表会に登壇したPFFディレクターの荒木啓子は、例年よりも多くの作品が選出されている理由として短編が多かったことを挙げ、「映画を作ることがカジュアルになってきた。知っている人がいなくてもインターネットで俳優やスタッフ、機材を見つけることができ、映画を始めることのスタートラインが開かれているように感じます」と、昨今の自主映画界の印象を述べる。

「PFFアワード」の入選作品は、期間中に8つのプログラムに分けて上映され、上映後にはそれぞれの作品の監督を迎えてトークを実施。9月22日(金)に行われる表彰式では、来場者の投票で決まる観客賞の他、5名の最終審査員が選んだグランプリなど8賞が発表。翌日9月23日にはグランプリと準グランプリ作品の上映が行われる。最終審査員については後日発表予定。また、9月9日から10月31日(火)にかけて「DOKUSO映画館」と「U-NEXT」でも入選作品のオンライン配信が行われるとのこと。

来たる“第50回”に向け、新たな企画がスタート!

招待作品部門「イカすぜ!70〜80年代」では貴重な作品がいっぱい!大森一樹監督の自主映画時代の作品が一挙に上映
招待作品部門「イカすぜ!70〜80年代」では貴重な作品がいっぱい!大森一樹監督の自主映画時代の作品が一挙に上映

「招待作品部門」では2028年に第50回を迎えるにあたり、自主映画が盛んになった1970年代から現代までの50年間の映画の歴史をディケイドごとに振り返る企画が今年から5年連続で新たにスタート。その最初を飾る「イカすぜ!70〜80年代」では、近年亡くなった映画人の“再発見”企画をはじめ、数々の貴重な作品が上映されていく。

まずは昨年11月に亡くなった大森一樹監督が手掛けた8ミリ作品7本と16ミリ作品2本、そしてなかなか上映機会のない35ミリ作品2本を3つのプログラムに分けて上映する「大森一樹再発見」。『うしろあたま』(85)で第8回ぴあフィルムフェスティバルに入賞し、昨年12月に亡くなった斎藤久志監督の作品上映や、ゆかりのある鈴木卓爾、矢口史靖、田中要次の3人が斎藤監督について語り合う鼎談企画を行う「斎藤久志再発見」。

昨年早逝した斎藤久志監督の特集上映では、ゆかりある映画人たちの鼎談も実施
昨年早逝した斎藤久志監督の特集上映では、ゆかりある映画人たちの鼎談も実施

そして、自主映画やアジア映画の発掘紹介を行いPFFの礎を築いた日比野幸子プロデューサーのプロデュース作品『杳子』(77)のデジタルリマスター版のワールドプレミア上映に、日比野プロデューサーが日本に紹介したアジア映画の名作2作品を上映する「日比野幸子プロデューサー再発見」。

さらに『あみこ』(17)の山中瑶子監督が影響を受けた作品等を上映する「山中瑶子『あみこ』への道」に、多くの映画監督たちに影響を与えた相米慎二監督の世界を、塩田明彦監督の『どこまでもいこう』(99)と絡めながら考察する「塩田明彦監督がみつめる相米慎二の少年少女」。

アルノー・デプレシャン監督特集では初期作品&『イスマエルの亡霊たち』が。熱愛する『女囚701号 さそり』を語る特別プログラムも実施
アルノー・デプレシャン監督特集では初期作品&『イスマエルの亡霊たち』が。熱愛する『女囚701号 さそり』を語る特別プログラムも実施[c] 2019 Why Not Productions Arte France Cinéma

27年ぶりにPFFにゲストとして参加するフランスの名匠アルノー・デプレシャン監督が、熱愛する『女囚701号 さそり』(72)を語る貴重な上映企画や、山川直人監督のデビュー作などを上映する「驚異のデビュー作」、そして生誕100年を迎えた鈴木清順監督の『陽炎座』(81)の4Kデジタル完全修復版のワールドプレミア上映も。

ほかにも、デプレシャン監督の特集上映から、今年で5年目を迎える音楽映画シリーズ「ブラック&ブラック」では、ピーター・バラカンの熱いリクエストに応えてメル・スチュアート監督の『ワッツタックス』(73)が上映。特別企画として清水宏監督と山中貞雄監督の3作品の3本立て上映や、20代で鮮烈な作品を世に放ったシャンタル・アケルマン監督とグザヴィエ・ドラン監督の作品の上映。そして第29回PFFスカラシップ作品となる岡田詩歌監督の『恋脳Experiment』の世界初上映も予定されている。

PFFスカラシップ作品『恋脳Experiment』の世界初上映には、祷キララらキャストの登壇も予定されている
PFFスカラシップ作品『恋脳Experiment』の世界初上映には、祷キララらキャストの登壇も予定されている[c]2023 ぴあ、ホリプロ、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、一般社団法人PFF

詳しい上映ラインナップや上映スケジュールは、「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」公式サイトをチェック!また東京開催に加え、10月14日(土)から10月22日(日)には京都文化博物館でも開催。チケットは8月19日(土)午前10時よりチケットぴあにて全期間分が発売開始となる。この機会に未来輝く新たな才能の作品から、ほかではなかなか観ることのできない貴重な作品まで、スクリーンでたっぷりと味わってみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬

作品情報へ