石橋凌が振り返る、鮎川誠との衝撃的な出会い『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』が公開
2023年1月29日に74歳でこの世を去ったロックミュージシャン、鮎川誠の素顔に迫ったドキュメンタリー映画『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』(公開中)の公開記念スペシャルトークショーが8月25日に角川シネマ有楽町で開催。鮎川と同郷で俳優の石橋凌と、本作でメガホンをとった寺井到監督、そして鮎川の3人の娘たちと孫が登壇し、思い出話に花を咲かせた。
1979年に「ユー・メイ・ドリーム」がヒットし、日本のロックシーンに大きな足跡を残したバンド「シーナ&ロケッツ」。そのギタリストとして休みなく走り続け、最期までステージに立つことにこだわった鮎川誠の生涯に迫った本作。2023年3月に行われたTBSドキュメンタリー映画祭で上映された『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢』をもとに、ゆかりの人物へのインタビューやプライベート映像、貴重な音源などを加えて再編集した内容となっている。
大きな拍手に迎えられて登壇した石橋と寺井監督。「ここからまた作品がスタートするのかな」と感無量の面持ちで述べる寺井監督は「福岡の人間は小さい頃にCMを見て鮎川さんを知る。ギターを弾いているかっこいい人というイメージがあるのですが、実際にお会いするとビジュアルはサングラスでクールな感じですが、気さくで優しい。ライブ映像もいいですが、そういうところを残せればと思って取材しました」と本作に込めた想いを明かす。
一方、「鮎川さんのすごさや優しさがあふれたドキュメンタリー作品で、非常に感動しました」と語る石橋は「中学に入り博多にサンハウスというバンドがいることを知り、レコードを聴き、初めてライブを観た時に『こんな本物のバンドが博多のすぐそばにいるんだ』と衝撃を受けました」と、鮎川との出会いを振り返る。その後高校でバンドを組んだ石橋は、サンハウスの前座として一緒にステージに立つこととなり、19歳の時にシーナ&ロケッツと同じレコード会社からARBとしてデビュー。そうした縁で交流が始まったという。
また2018年には、石橋の娘である女優の石橋静河がテレビドラマ「You May Dream」で鮎川の妻シーナ役を演じるという縁も。「毎年博多でやっているライブに、5年くらい前に誠さんにゲストで出ていただき、楽屋で『誠さん、なにかのご縁かうちの静河がシーナさんの役をやることになりました』と話したんです」と思い出話を披露し、娘の演技についても「実際にシーナさんとお会いして、笑顔が素敵な方だったので、その笑顔がうまいところで出ているのかなと思いました」と述べた。
その後、鮎川の長女の陽子さんと次女の純子さん、三女のLUCY MIRRORと、孫の唯子さんが飛び入りで舞台挨拶に参加。それぞれが鮎川との思い出を懐かしそうに語るなか、寺井監督は「ここに一番いてほしい二人がいないんです」と自らのスマホを取りだし「二人にも登壇してほしいです」と鮎川とシーナの生前の声をマイクを通して会場に流す。会場に集まった全員が二人に思いを馳せてしんみりとしていると寺井監督は「映画でお二人に会えます」と呼びかけ、あたたかな拍手に包まれていた。
文/久保田 和馬