『スラムドッグ』旋風から一転、英国映画は不作の年

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『スラムドッグ』旋風から一転、英国映画は不作の年

先ごろゴールデングローブ賞ノミネートが発表されたが、俳優賞部門では『17歳の肖像』(原題:An Education)の新星女優キャリー・マリガンや『シングル・マン』のコリン・ファースなど英国俳優のノミネートがあったものの、作品賞には英国映画が一本も入っていなかった。これは1990年以来初めてのことで、“史上まれに見る英国映画不作の年”と本国で騒がれている。

特に『ハイ・フィデリティ』(00)のニック・ホーンビィが脚本を担当した『17歳の肖像』は、サンダンス映画祭で観客賞を獲り、放送映画批評家協会(BFCA)賞で4部門にノミネートされるなど、“今年最もアカデミー賞に近い英国映画”と呼ばれていただけに、ノミネートを逃したのは本国メディアには意外だったようだ。

それ以外にも、詩人ジョン・キーツの恋を描いた『Bright Star』やブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードで作品賞と新人監督賞を獲得した『The Moon』など、英国映画にも小粒の良作はあったものの、いずれもゴールデン・グローブ賞では無視され、在米外国人記者が選んでいる賞にしては米国一色のノミネート結果になった。

『スラムドッグ$ミリオネア』旋風が吹き荒れた昨年から一転し、英国映画界にとっては地味なアカデミー賞シーズンになりそうだ。【UK在住/ブレイディみかこ】

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