塚本晋也監督、映画『ほかげ』アジアン・プレミア上映舞台挨拶でキャストを絶賛!自身の演出方法も明かす

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塚本晋也監督、映画『ほかげ』アジアン・プレミア上映舞台挨拶でキャストを絶賛!自身の演出方法も明かす

塚本晋也監督最新作『ほかげ』(11月25日公開)が10月25日、開催中の第36回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門にてアジアン・プレミア上映され、塚本監督と本作に出演した塚尾桜雅、河野宏紀が登壇し舞台挨拶を行なった。

【写真を見る】挨拶の言葉を忘れてしまった塚尾を励ます塚本監督
【写真を見る】挨拶の言葉を忘れてしまった塚尾を励ます塚本監督

本作は、第80回ヴェネチア国際映画祭で日本人初のNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。9月に開催された第48回トロント国際映画祭に続き、いよいよ日本でのお披露目となった。戦争に近づく現代の世相を問う物語で、終戦直後、生き延びた人々が抱える痛みと闇を描き出している。塚本監督は「江戸時代の終わりにいまが似ていると感じて『斬、』を作り、戦場の恐ろしさを『野火』で描きました。そして、戦争の後を描かれなければという思いで闇市をテーマにした『ほかげ』を作りました」とコメント。闇市は実際に見たことがないとしながらも「いまの渋谷のマークシティあたりでガラクタを売っているお店があって。いま思うとあれは、闇市の名残だったと思います。そういった原初的なイメージに耳を澄ませて作った作品です」と映画制作のきっかけを説明した。

テーマ「闇市」を選んだ経緯や、作品に込めた思いを語った
テーマ「闇市」を選んだ経緯や、作品に込めた思いを語った

撮影を振り返った塚尾は「塚本監督が大好きです。撮影中は、趣里さんや森山(未來)さん、河野さんとたくさんお話をしながら撮影できて楽しかったです。暑かったので、アイスを食べながらの撮影でした」とニッコリ。途中、挨拶の言葉を忘れてしまったようで、沈黙が続く場面もあったが、オーディションでは当時小学1年生とは思えないほどしっかりしていたと話した塚本監督。「僕が小学1年生の頃は、ぼーっとしてなにも考えていなかった(笑)。オーディションですごくしっかりしているという印象を受けたけれど、それは現場で証明されました」とニッコリ。演技プランを2種類提案し、「監督、どちらのパターンで行きますかって質問してくるんです。なので、1で行ってみる?でも、2の要素も入れてみようか?といった話をすることができました。演じることに対して自覚を持って現場に来てくれるような子でした」とオーディションでの印象が的中し、大満足の様子。さらに「現場をいつも明るくしてくれたのが救いでした」と感謝を伝える場面もあった。

塚本監督のこだわりを目の当たりにし、刺激を受けた様子
塚本監督のこだわりを目の当たりにし、刺激を受けた様子

自身も映画監督だという河野は塚本監督について、「わんぱくな映画を撮られているという印象がありました。オーディションで会うのは少し怖かったですが、実際に会ってみたらすごく優しくてあたたかい方でした。僕が無茶な減量をしていることを気遣ってくれたり、集中しやすい環境でいさせてくれました」と会う前と会った後での印象に触れる。映画監督としては自分はまだまだとしながらも、「今後チャレンジしていきたいという思いがあり、実は現場で吸収できることはないかと思っていましたが、そんな余裕はありませんでした」と演じることだけで精一杯だったと告白。しかし、塚本監督をずっと観察していたそうで「細部にこだわりのある方ということがわかりました。照明ひとつにしても、ものすごい時間をかけてシーンを撮るという印象が常々あって。そういうこだわりが、いい作品を生み出し続けられる理由だと勝手に思っていました」と現場での学びを明かした。河野のキャスティング理由について塚本監督は「お芝居に嘘がない。自然に役に挑む姿勢のまっすぐな感じ、佇まいが抜群に素晴らしかったです」と500人以上の応募のなかから見つけ出した逸材を絶賛していた。


日本でのお披露目に「うれしい!」と笑顔に
日本でのお披露目に「うれしい!」と笑顔に

Q&Aのコーナーでキャストの“目”の演出を問われた塚本監督は「僕はあまり演出をしません。これまでの作品でも細かい演出はほとんどしていません。あえていうなら、シーンをぶつ切りにしないこと。そこで起こる自然な俳優の力、宿るような力を大切にしています」と答えていた。

第36回東京国際映画祭は、10月23日~11月1日(水)の10日間にわたり、シネスイッチ銀座、丸の内TOEI、角川シネマ有楽町、TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ日比谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューリックホール東京などで開催中。

取材・文/タナカシノブ

※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記

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