森山未來や磯村勇斗の着こなしから新星アオイヤマダまで、個性輝くTIFFファッションをプレイバック!
日比谷、有楽町、丸の内、銀座地区にて開催中の、開催アジア最大級の映画の祭典、第36回東京国際映画祭もいよいよ11月1日(水)で閉幕。東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場と日比谷仲通りで10月23日に行われたレッドカーペットイベントから、ファッショナブルな俳優陣や、個性的なスタイルを披露した新星のファッションをプレイバック!
東京国際映画祭は世界中から優れた映画が集まる、アジア最大級の映画の祭典。今年の「コンペティション」部門には、114の国と地域から1942本がエントリー。厳正な審査を経た15本が期間中に上映され、クロージングセレモニーで各賞が決定する。この日は会場に国内外から総勢205名のゲストが集まり、長さ165メートルに及ぶレッドカーペットを闊歩。ファンと交流を図った。
背中に大きなリボンをつけた超個性派ドレスで注目を集めたのが、オープニング作品となる『PERFECT DAYS』(12月22日公開)に出演するダンサーのアオイヤマダだ。全身にプリーツを施したクリーム色のドレスで、プリーツと合わせたようにセットした金色ボブのヘアスタイルも印象的。センターに入ったスリットから、レースアップのサンダルを覗かせていた。
本年度のコンペティション部門で審査委員長を務めるヴィム・ヴェンダース監督の最新作となる本作は、東京・渋谷の公共トイレを題材に、役所広司演じる公共トイレ清掃員、平山の日々を描き、日々の小さな揺らぎを映しだす。アオイは、アヤ役を演じた。舞台挨拶でアオイは「謎が多い人物」とアヤを紹介し、「私を見つめてくれた。ヴィムさんは愛を捨てることがなかった」とヴェンダース監督に感謝。ヴェンダース監督は「初めに脚本を書いた時は、アヤは紙のうえにしか存在しませんでした。アオイがアヤに命を吹き込んでくれた。また今夜、彼女は紙のような状態でいます」と紙で作られたドレスのようだと話し、これにはアオイも大笑い。ダンスを踊るようにくるりと一回転すると、ドレスが美しく揺れていた。
同作で俳優デビューを果たした中野有紗は、艶やかな着物姿を披露した。白地に赤や朱色の四季草花が描かれた振袖で、金色のゴージャスな帯をキリリと締めていた。ヘアはタイトにまとめ、揺れる花かんざしもなんとも美麗。華やかな場にぴったりの1枚で背筋をピンと伸ばしてレッドカーペットを歩き、会場を魅了していた。舞台挨拶では「初めての演技で右も左もわからないまま、こんなにもすばらしいチームに加えていただき、こんなにステキな場にも連れてきていただいた。ありがとうございますの気持ちでいっぱいです」と感激をあふれさせた中野。ヴェンダース監督から「彼女は生まれ持っての役者だと思いました」と称えられていた。
国際映画祭の華とも言える「コンペティション」部門に選出された『正欲』(11月10日公開)に出演する東野絢香は、ブラックのロングドレスをセレクト。胸元にはネイビーのふわりとしたフリルをほどこし、チェック柄のスリーブはアシンメトリーのデザインで個性を発揮。五連パールのネックレスや指輪が上品さを加えていた。朝井リョウによるベストセラー小説を映画化した本作は、家庭環境、性的指向、容姿などさまざまな背景を持つ人々の人生が、ある事件をきっかけに交差していく群像劇。NHK連続テレビ小説「おちょやん」で注目を集め、数々の舞台でもその演技が光っていた東野は、本作で満を辞して映画初出演を果たした。
ガラ・セレクション部門作品でアジア最高峰のドラマ原作を映画化した『ゴールド・ボーイ』(2024年春公開)に出演する星乃あんなは、ボルドーのゆったりとしたロング丈のジャケットに、ミニのシャツワンピースを合わせたコーディネート。ブラックの厚底シューズでマニッシュな雰囲気をプラスして、イキイキとした笑顔でレッドカーペットを歩いた。完全犯罪を犯したはずが、少年たちに目撃されていたことで、殺人犯と少年たちの心理戦が幕を開ける本作。羽村仁成や前出燿志もビッグシルエットのジャケットでそろえ、息ぴったりの様子を見せていた。
アジアの未来部門に出品されている『辰巳』に出演し、実力派として着実にキャリアを重ねている森田想は、ヌードカラーのオーガンジーのミニドレスをセレクト。キラキラと輝くスパンコールやスカートにたっぷりと付けられたフリルも実にキュート。足元もヌードカラーで合わせつつ、人差し指につけた大き目パールの指輪がすばらしいアクセントになっていた。裏社会に生きる男、辰巳と少女、葵の哀しき復讐を描く本作。ステージでは小路紘史監督が「このメンバーで登壇できてとてもうれしく思っています。役者のメンバーが本当にいい芝居をしています。それを見ていただきたい」と熱く語り、森田もうれしそうな笑顔を浮かべていた。
また個性豊かといった意味では、映画界で破竹の勢いを見せている磯村勇斗の出立ちも際立っていた。コンペティション部門『正欲』、そしてNippon Cinema Now部門「監督特集 映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」特集で上映される『ビリーバーズ』のキャストとして、レッドカーペットを2回歩くタイミングがあった磯村。『正欲』の歩行タイミングでは、ジャケットに羽のようなデザインをあしらったブラックスーツ。『ビリーバーズ』の歩行タイミングでは、アルファベットの書かれた黒ジャケットにグレーのクロスが揺れるボトムスを合わせた攻めたスタイル。熱心にファンサービスにも専念し、会場を沸かせた。
ガラ・セレクション部門作品『ほかげ』に出演する森山未來も、独創的なスーツ姿で鮮烈な印象を残していた。白のジャケット&ボトムスに、黒のクロスをプラス。センスのよさを細部にまで巡らせたスタイルだ。塚本晋也監督が、終戦直後の闇市を舞台に生き延びた人々が抱える痛みと闇を真摯に描く本作。ステージでは蝶ネクタイを締めた子役の塚尾桜雅の肩を抱き、優しい笑顔を見せながら観客に大きく手を振っていた。
文/成田おり枝