関俊彦、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の鑑賞法を笑顔でアピール「美しい風景でマイナスイオンをたっぷり浴びて、後半の展開に備えて!」
水木しげる原作の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(公開中)の公開記念舞台挨拶が11月19日、新宿バルト9にて開催され、鬼太郎の父役の関俊彦、水木役の木内秀信、鬼太郎役の沢城みゆき、謎の少年役の古川登志夫、古賀豪監督が登壇し、作品への思いを語った。
本作で描かれるのは、昭和30年代を舞台に、鬼太郎の誕生とかつての目玉おやじの隠された謎に迫るストーリー。アフレコは今年8月に行われたそうで、「収録時に11月には公開しなければいけない作品ですと言われました」と振り返った関。タイトなスケジュールで完成に至った本作を観てその完成度の高さに感激したという。「大変な苦労をされて、すばらしい作品に仕上げてくださったんだなって。お礼を言いたいです、ありがとうございます!」と笑顔でスタッフを労った。
会場で泣き出した赤ちゃんの声に「応援、ありがとうございます!」とニッコリした木内は、「小さい頃から慣れ親しんだ物語。子どものころから目玉おやじは“なんで目玉だけなんだろう”と疑問に思っていました。(自分が)おじさんになって、(目玉の謎を)解明する一端を担うことになろうとは!」としみじみ。大人になり、子どもの頃からの謎が解明できた喜びに触れていた。
制作発表から2年以上を経て公開に至ったことについて古賀監督は「大変お待たせいたしました、という気持ちです」と深々とお辞儀をし、「実はつい先週まで作っていました(笑)。出来立てホヤホヤの作品です。たくさんの方にお届けできてよかったと思います」と安堵していた。
脚本を読んだ時に「『ゲゲゲ』のなかでこんな重いテーマを扱っていいのか、というお驚きでいっぱいでした」と感じたという関は「人間のドロドロとした部分、醜さなど、真正面から立ち向かっています。読んでいて苦しい思いをしたという思い出があります」と台本の印象を語りつつ、出来上がった作品は「勇気を与えてくれる」とし、「期待してください」と呼びかけた。木内は「台本を1ページ1ページ、ゆっくりめくりながら謎を解くのが楽しみでした。ドキドキワクワクしながら読みました」と話し、台本の段階から謎解きを楽しんでいたことを明かしていた。
「タイトル通り、鬼太郎誕生の謎にまつわる話で、その謎を解き明かす本」と予想して台本を読んだと話した古川は「まるで小説のようで引き込まれる読み物でした」と微笑み、「大人向けの大作になる予感がありました」とアフレコ前から感じた手応えに触れていた。
『ゲゲゲの鬼太郎』が愛され続ける理由について沢城は自身の子育てでも感じたことと前置きし、「子どもって妖怪が好き。想像力が豊かな子どもは、暗闇のなかになにかを見出すようなんです。たどり着けば鬼太郎がいて友達になれる。そこにたどり着くことさえできれば鬼太郎に会えるんです。大人になって鬼太郎から離れると、今度は水木先生のカリスマ性に魅せられる(機会に遭遇する)。ずーっと(人生の)通過点で呼応するものがあるのかなって思います」と解説。沢城自身も大人になってから仕事で鬼太郎に出会い直したと話し、「まだまだ楽しめる。勉強になることがあるのかなと思っています」とし、「日本において、妖怪の導入には鬼太郎がいます!」とその存在の大きさを現役の担当声優として熱弁し、大きな拍手を浴びていた。
古川は「水木先生の作品には、妖怪、悪魔が出てくるけれど、人間ドラマが描かれています」と強調し、「人間の憎悪、愛など(を描き)、最終的には人間としてあるべき姿、善悪の基準が見出されるのが魅力だと思います」と愛され続ける理由を分析していた。古賀監督は「鬼太郎が誕生する以前の話を水木先生は描いていません。水木先生の著作物や生きてきた昭和という時代を勉強して、水木先生がおそらく描きたかったであろう物語を、令和の世に水木先生がいらっしゃったら、描きたかったことはこういうことだろうというのを探って作る作業をしました」と制作過程と、作品に込めた思いを言葉にしていた。
上映前の舞台挨拶のため、ネタバレはNG。「ネタバレなしでのおすすめは難しい」と頭を抱えた関だが「印象深かったのは背景の美しさです。田園風景、山、海、湖など昭和の自然の風景の美しさがありました。それを堪能してください。後半(の展開)がまがまがしいので、前半のうちに(風景の美しさで)マイナスイオンを取り入れて、後半のきついシーンに備えてください!」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ