松村北斗&上白石萌音は「本気な人」『夜明けのすべて』三宅唱監督からのサプライズ手紙に感激!
松村北斗と上白石萌音がダブル主演を務める映画『夜明けのすべて』の公開記念舞台挨拶が2月10日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、松村と上白石をはじめ、りょう、光石研、三宅唱監督が登壇。三宅監督から主演の2人に向けて、これまでの感謝をしたためた手紙がサプライズで送られ、松村と上白石が喜びをあふれさせた。
「そして、バトンは渡された」で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名小説を『ケイコ 目を澄ませて』(22)を手掛けた三宅監督が映画化した本作。パニック障害を抱え無気力に毎日を過ごしている山添くん(松村)と、月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石)が交流し、少しずつお互いの殻を溶かし合っていく姿を描く。
上映後の会場を見渡した松村は「テーマからはちょっと驚くくらいクスクスと笑えたり、救われるものになっているのかなと思っています。昨日の公開を皮切りに、救われる人数がどんどん増えていくといいなと心から願っています。皆さんでこの輪を大きくしていただけたら」と希望。「映画に携わった一員としても、映画をちょっと早く観た一人としても、早く公開されないかなと思っていました」と切りだした上白石は、「少しでも心が温まっていたらうれしいです」と願っていた。
「歩み寄ることの大切さ」を描く映画にちなみ、自分自身が「日々心がけている思いやり」について聞かれると、松村は、大人数のなかで自分が先頭を歩いていて、後ろにいる人が話が弾んでいる時について話を繰り広げ、「ちょっとした段差に差し掛かった時に、後ろの人が会話に熱中して気づかないんじゃないかと思って。『段差があるから気をつけて』というのもわざとらしいので、『おお…!』『うし!』と膝を曲げて倍くらい沈むようにします。普段グループでいるので、あと5人いるので。誰にも怪我してほしくないので」と段差があることを強調するために、身体を沈ませるのだという。登壇者も会場も大笑いとなるなか、上白石がこれまでその思いやりを「察知できていなかった」と打ち明けると、松村は「シームレスですから。気づかない間に」とナチュラルに思いやりを入れ込むと明かした。
一方の上白石は「映画のなかでティッシュ配りをするシーンがあった。受け取ってもらえるとめちゃくちゃうれしい」と回想しつつ、「その一瞬でも優しさってもらえるなと思うので、誰かにとってのいいお客さんでいたいなと思っています。コンビニでも1日中、接客をしている人に『今のいいお客さんだったな』とちょっとでもほっこりしてもらえるように、ちゃんとお礼を言うとか。アメちゃんを配るように、優しさを置いていけるような人になりたい」と話すと、りょうと光石も共鳴。光石は「ありがとうって言いたい。いつでも“ありがとうおじさん”みたいにしていきたい」と目尻を下げていた。
またこの日は、三宅監督から、松村と上白石に向けてサプライズで手紙が送られた。司会が代読した手紙には「松村さんと上白石さんがどういう人かを一言で言うと、お2人とも本気な人。お2人の本気さは、歯を食いしばって踏ん張るようなレベルよりもっと本気です。本気だからこそ丁寧にやるし、本気だからこそユーモアも忘れない。その結果、柔らかくて穏やかな人になっているんだろうと見えていました」と2人の印象がつづられ、「最後まで本気になることを恐れずに、本気でい続けることを諦めずいる。だから2人とも最高にカッコいい俳優なんだなと思います」としみじみ。さらに演じたキャラクターも本気の人だと分析しつつ、「お2人のコンビネーションは最高でした。この映画の上白石萌音がすばらしいのは、相手が松村北斗だったからであり、この映画の松村北斗がすばらしいのは、相手が上白石萌音だったからです。俳優という仕事は、なぜ美しいのか?その答えは『自分一人で輝くのではなく、一緒にいる相手を輝かせ、相手と共に輝くことができるからだ』と、お2人が教えてくれました」と監督からの心がたっぷりと込められていた。
松村と上白石も「ありがとうございます」感激しきりだったが、松村は「監督こそ一番本気で、努力される方。それなのに自分の努力を、ぽいっと人の賞賛のためにあげてしまえる優しさがある」と三宅監督に人として惚れ込んでいると語り、上白石も「監督と初めてお会いする前に、監督からお手紙をいただいている。何万字?」と卒論くらいの長文の手紙をもらっていたそうで、「私は監督に心をつかまれっぱなしです。私たちは監督が大好きで、この監督のもと本気になって映画を作ってきた。本気になりたいと思わせてくれる監督です」と本気を持ち寄って温もりのある映画を完成させたと話していた。
取材・文/成田おり枝