【第96回アカデミー賞】『哀れなるものたち』ヨルゴス・ランティモスは監督賞を逃す
米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第96回アカデミー賞授賞式。監督賞は、『オッペンハイマー』(3月29日公開)のクリストファー・ノーランが獲得。初の監督賞にノミネートされていた『哀れなるものたち』(公開中)のヨルゴス・ランティモスは受賞を逃した。
『女王陛下のお気に入り』(18)のランティモス監督とエマ・ストーン、そしてサーチライト・ピクチャーズが再タッグを組んだ本作。天才外科医によって奇跡的に蘇生を遂げた若き女性ベラ(ストーン)が、大陸横断の旅を通して平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていく姿を描く。ストーンは主演のみならず、プロデューサーにも名を連ねている。
ヨルゴス・ランティモス監督は1973年5月27日生まれ、ギリシャのアテネ出身。2009年、『籠の中の乙女』でカンヌ国際映画祭のある視点部門グランプリを受賞。アカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど国内外で注目を集める。初の英語作品でコリン・ファレル主演の『ロブスター』は第68回カンヌ国際映画祭にて審査員賞を受賞、アカデミー脚本賞にノミネートされた。ファレルと再タッグを組んだ『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(17)でカンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞。『女王陛下のお気に入り』(18)ではアカデミー賞9部門にノミネートを果たした。
すっかりアカデミー賞のノミネート常連となったランティモス。『哀れなるものたち』は、第80回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を皮切りに数多くの映画賞を受賞。第96回アカデミー賞では、11部門でノミネートされ、主演女優賞、衣装デザイン賞、美術賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。独自の世界観と圧倒的な映像美で、世界中を魅了している。
文/成田おり枝