クリストファー・ノーランの監督デビュー作『フォロウィング』自身監修のHDレストア版が劇場公開
先日行われた第96回アカデミー賞で作品賞ほか最多7部門を受賞したクリストファー・ノーランの監督最新作『オッペンハイマー』(3月29日公開)の日本公開を記念して、ノーランの監督デビュー作『フォロウィング』25周年/HDレストア版が4月5日(金)より劇場公開される。
本作はロッテルダム映画祭をはじめ数多くの映画祭で賞を受賞し、ノーランの才能を一躍世界に知らしめた記念すべきデビュー作。未来から過去へと時間軸を逆向きに映し出した『メメント』(00)。アメコミ映画の新時代を切り開き、数々の伝説を打ち立てた「ダークナイト」シリーズ。“夢の中”を映像化し、観る者の度肝を抜いた『インセプション』(10)。五次元の宇宙空間を創り上げた『インターステラー』(14)。時間が逆行する世界を描き未知なる映像体験へ誘う『TENET テネット』(20)。誰も観たことのない映像を0から生み出す才能で、常に新たな“体験”を放つノーラン。過去から未来、未来から過去へと交差する時間軸で紡がれる本作は、世界中で絶賛されたこれまでの作品以上に複雑な構成となっており、ノーランの魅力すべてが詰まった傑作である。
物語の主人公は作家志望の男ビル(ジェレミー・セオボルド)。彼は創作のヒントを得るため、通りすがりの人々のあとをつける行為を繰り返していた。ある日、ビルがいつものように男をつけていると、尾行していることがその男コッブ(アレックス・ハウ)にバレてしまう。だがコッブもまた、他人のアパートに不法侵入し、私生活を覗き見る行為に取りつかれていた。ビルは次第にコッブに感化されていく。数日後、ビルはコッブと2人で侵入したアパートで見た写真の女性に興味を抱く。やがて、彼女の尾行を始めるビルだったが、その日を境に、彼は思わぬ事件に巻き込まれていく…。
本国公開25周年を迎えた2024年、ノーランは日本での公開を熱望。本編はオリジナルの16mmエレメントを4Kスキャン。最新技術を駆使し、画面上の傷を除去して解像度を上げた。これによりシャープで、ディティールまで美しい豊かな映像が実現。音響に関しては、新たに5.1サウンド・トラックを採用。ノーラン本人による監修のもと力強い完成度と完璧な音量レベルへと仕上がっている。
なお、来場者特典として記念ポストカードの配布も予定。数量限定、各劇場公開日より先着でなくなり次第終了となる。新作を発表するたびに、壮大なスケールの映像と先進的な表現で観るものを驚かせるノーラン。アップデートされたデビューで、彼の原点に触れてみたい。
文/スズキヒロシ